2022 Fiscal Year Research-status Report
Analysis on reputation effects in finitely repeated games with one-sided incomplete information
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22K01391
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
宮原 泰之 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (80335413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
定兼 仁 京都大学, 経済研究所, 助教 (30804900)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 繰り返しゲーム / 片側不完備情報 / 評判効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
片側不完備情報の有限回繰り返しゲームに関する研究を行った。本年度は関連研究のレビューを行いつつ、独自の研究を行った。当初は次のような予想の下で分析を開始した。つまり、有限回繰り返し囚人のジレンマゲームにおいてある片側不完備情報を導入すると、繰り返し回数が増えるとどのような均衡利得ベクトル協力利得ベクトルに収束するかというものであった。よって、この片側不完備情報の構造を探すことに焦点が当てられた。特に、一方のプレイヤーは自分の利得関数と相手の利得関数を知っており、もう一方のプレイヤーは自分の利得関数も相手の利得関数もわからないという利得タイプに着目した分析が本研究の新しい点である。関連分野における最も先駆的な研究であるKreps, Milgrom, Roberts, and Wilson (1982)では両方のプレイヤーが自分の利得関数は知っており、相手の利得関数はわからないという状況を分析し、有限回繰り返し囚人のジレンマゲームにおいてゲームの大半で協力的行動が実現可能であることを示している。そこでは両方のプレイヤーについて相手の利得関数がわからないということが必要であることが強調されていた。本研究では一方のプレイヤーは自分も相手のプレイヤーの利得関数も知っており、一方のプレイヤーは自分と相手の両方のプレイヤーの利得関数がわからないときにゲームの大半で協力的行動が実現するかを調べている。様々な利得タイプを考察したが、均衡の導出が複雑であることがわかった。当初の結果の予測は正しくなく、どのような均衡も非協力的な利得ベクトルに近いものになる可能性も想定し、分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」で説明したように当初の結果の予測とは異なる結果になる可能性があり、分析範囲を広げる必要があったため時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
分析範囲を広げる必要が出てきたため、均衡利得ベクトルが協力的利得ベクトルに収束するかどうかだけでなく、フォーク定理の成立の可能性も考慮して分析を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ感染症拡大により出張が困難な研究会があったため。
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