2022 Fiscal Year Research-status Report
Basis for Cognitive Constraints in Rational Inattention Model
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22K01395
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
下川 哲矢 東京理科大学, 経営学部ビジネスエコノミクス学科, 教授 (30366447)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 意思決定 / 神経経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,近年注目を集めているRational inattentionモデルに認知的な基礎付けを与えることである.特に,「情報コストの精緻化」と「注意の分配」といった理論フロンティアに着目して,意思決定モデルの精緻化を行う. 本年度は,主として研究申請書中の実験1および実験3を実施し,分析および論文化を行った.実験1は連続型投資意思決定課題と生体情報のmulti-modal計測を行う実験であり,被験者の規模は45名となった.生体情報としては,予備実験の結果を基に,特に効果が得られると予想される被験者の脳情報(fNIRS)および視線情報を取得した.実験3は,Graphical user interface (以下GUI)を,画面中央に同様に投資対象の株価時系列データを表示し,それを取り囲むように複数の情報源を配置するように修正した複数情報源での検証である.実験規模は,生体情報を取得するため実験1と同程度である.これらの実験から,ShannonエントロピーモデルとTsallisエントロピーモデルとの,被験者行動の説明力に関する優位性の有無,および生体情報との整合性の有無等に関して一定の知見を得た(申請書の検討課題Bに対応).またAttention allocationに関しても,その存在と非対称性の存在に関して重要な知見を得ることができた(申請書の検討課題CおよびDに対応).これらの結果は,既に論文化を終え,近々に専門誌に投稿される予定である. また実験2に付随する検討課題に関しても,昨年度に実施したコントロール実験のデータを用いた研究を発表し,既に専門誌に掲載されている.ただしInvariance under compression (IUC)と生体情報の関係については有意なものは得られていない(申請書の検討課題Aに対応).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回は準備が十分にできていたことと,実験が予定通りに進んだことが,申請書の計画通りに進んでいる大きな要因である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はinattentionの状況依存性や市場バイアスとの関係の検討(検討課題FおよびG)を行う予定である. 現時点まで順調に進んでいるため,さらに研究を進めて改良モデルの提案もできればと考えている.
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Causes of Carryover |
例年実験機材の故障やPCの買い替えが必要となり,その予算を計上したが今年度はその必要がなかった.また,国際学会発表に関しては学内の別予算が使用できたために不要となったことによる. 今後いくつかの論文発表が続く予定であるため,主として論文公表費用として使用していく.
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