2023 Fiscal Year Research-status Report
ライフサイクル上の雇用・労働と家族関係の相互作用に関する経済分析
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22K01399
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
藤本 淳一 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (00507907)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | マクロ経済学 / 労働サーチ理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
人々は、家庭教育等で人的資本を形成して労働に従事し、家庭を築き次世代を育てていく。このプロセスの円滑な進行は、マクロ経済的観点からも重要である。本研究の主目的は、こうした視点に基づくライフサイクル上の雇用・労働と家族関係の相互作用の分析であり、令和五年度には以下の2プロジェクトを探求した。Julen Esteban-Pretel氏(ニューヨーク市立大学クイーンズカレッジ教授)との我が国非正規雇用についての研究では、正規・非正規の別を導入した労働サーチ・マッチング・モデルや非正規雇用の特質についての議論を行った。また、1980年代以降の非正規雇用につき概括したディスカッションペーパーEsteban-Pretel and Fujimoto (2021)を雑誌に投稿すべく、改訂を進めた。David Lagakos氏 (ボストン大学教授)及びMitchell VanVuren氏(イエール大学ポストドクトラルアソシエート)との途上国における親の所得と子の教育水準の関係に関する研究では、ガーナの高校無償化政策のマクロ経済学的効果に関する論文を、ワーキングペーパーFujimoto, Lagakos, and VanVuren (2023)として公表した。
<参考文献> Esteban-Pretel, J. and J. Fujimoto (2021) “Non-regular Employment in Japan from the 1980s,” GRIPS DP 21-01. Fujimoto, J., D. Lagakos, and M. VanVuren (2023) “Aggregate and Distributional Effects of ‘Free’ Secondary Schooling in the Developing World,” NBER WP 31023.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、雇用・労働と家族関係の双方向的な関わりを重視した経済学的分析を行うことを目指している。コロナ禍により共同研究者を往訪・招聘しての打ち合わせができず不便であった時期があったが、上記のとおり2プロジェクトの研究を着実に推進してきており、全体としておおむね順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
Esteban-Pretel氏とのプロジェクトについては、正規雇用・非正規雇用の別を導入した労働サーチ・マッチング・モデルの構築と、1980年代以降の日本の非正規雇用についての論文の投稿に向け引き続き作業を進める予定である。Lagakos氏及びVanVuren氏との共同研究については、論文の国際学術雑誌掲載を目指して作業を進めていく。
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Causes of Carryover |
令和五年度には国際学会への出席や共同研究者の往訪・招聘に費用の支出を予定していたが、新型コロナウィルス感染症の影響の長期化等により、実現できなかった。令和六年度は新型コロナウィルス感染症の状況が好転しつつあることに伴い、可能な範囲で国際学会での発表や、共同研究者の往訪・招聘、関連分野の研究者との意見交換等のための出張を行うとともに、出張時に利用するためのラップトップPCや、研究効率化に資するPC周辺機器等を購入する予定である。
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