• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2022 Fiscal Year Research-status Report

空間特性を考慮したラムゼー・モデルによる地域間成長格差の理論分析

Research Project

Project/Area Number 22K01404
Research InstitutionHosei University

Principal Investigator

佐柄 信純  法政大学, 経済学部, 教授 (90286005)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2024-03-31
Keywords非凸選好 / 厚生経済学の第二基本定理 / パレート効率性 / 競争的市場メカニズム
Outline of Annual Research Achievements

ラムゼー・モデルを基本的解析ツールとするマクロ動学一般均衡分析では、一国の経済成長と景気循環について現在まで盛んに研究されてきたが、【地域間資本移動】をともなう異時点間の資源配分については、十分に考察されてきたとは言い難い。各地域を相異なる複数の経済主体に見立てると、均衡経路では割引因子の相違でしか【地域間資本移動】を説明できないのが、その理由である。本研究では、効用関数と生産技術に立地パラメータを付与した【空間特性を考慮したラムゼー・モデル】に依拠し、共通な割引因子を持つ単一経済主体の無限期間効用最大化問題を定式化した上で均衡経路を特徴づける。割引因子の相違をモデルから完全に取り除くことにより、新古典派の標準的仮定を満たさない非凸選好と規模に関する収穫逓増が併存する生産技術の下では、【経済成長の地域格差】が時間選好率以外の要因で生じることを示す。さらに【パレート効率性】と【地域間衡平性】を同時に満たす経路が存在する経済学的条件も明らかにする。

上記の問題意識の下、令和4年度は無限人経済の一般均衡モデルにおいて、非凸選好の下でも【厚生経済学の第二基本定理】が成り立つことを明らかにした。時間視野が無限期間の標準的ラムゼー・モデルでは、単一の代表的経済主体の異時点間意思決定は無限人経済の一般均衡モデルの枠組みで捉えることができる。【空間特性を考慮したラムゼー・モデル】の予備的考察として、新古典派の標準的仮定を満たさない静学モデルにおいて、【パレート効率性】が競争的市場メカニズムで実現できることを示した点で、この結果は今後の研究の出発点になるものである。現在、この結果をまとめた論文執筆の最終段階にあり、海外のジャーナルに投稿する予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

コロナ禍で学会報告の機会が減少する中、当初の想定の範囲内で予定通りに研究を進め、令和5年度に2本の学術論文を国際ジャーナルに投稿する予定である。研究成果の公表という観点からは、計画通りに成果を挙げつつあると思われる。

Strategy for Future Research Activity

新型コロナウィルスの世界的流行が終息しつつある中、学会活動も正常に戻りつつある。今後は積極的に国内外の学会に参加し、現在の研究課題をさらに発展させるために、市場メカニズムによる資源配分の特徴付けを異時点間意思決定の観点から分析を進めたい。また、市場メカニズムによる衡平な資源配分を実現する方法を考察するため、非同質的分割可能財が存在する交換経済を一般的な枠組みで定式化した上で等価主義配分が公理化された社会的厚生関数を最大化することを示す。この問題を動学的枠組みに拡張し、【地域間衡平性】の本格的分析を行うための更なる考察を進めたい。

Causes of Carryover

新型コロナウイルスの世界的流行により、研究計画調書の作成段階で開催が未確定であった国内外の学会の詳細が科研費申請後に正式に決まり、フィンランドで研究発表を行い、国外旅費と学会参加費を計上した。研究計画を効果的に実行するためには、当初の予定よりも多くの国内外の学会に参加するのが望ましいとの判断に至ったが、学会出張および学会参加の費用が当初の予定以上にかかる見通しとなり、他の予算費目への支出を圧迫するため、今年度の研究費を増額する必要が新たに生じた。また、研究期間の初年度に研究の着手に不可欠な研究用図書の支出が事前の想定をやや上回った。

当初の計画では、前半の2年間よりも後半の2年間により多くの研究費を計上しているため、前倒し請求を行っても後半の研究予算は十分に確保できる。今年度の前倒し請求の大部分は国内外旅費、学会参加費、研究図書費に割り当てる予定である。初年度に研究の着手に最低限必要な消耗品の購入を既に済ませており、来年度以降は物品費の大幅な削減を見込めるため、研究計画の実行に支障は生じない。今回の前倒し請求により、研究期間全体の研究支出に極端な偏りが生じないよう細心の注意を払う。

  • Research Products

    (2 results)

All 2022 Other

All Int'l Joint Research (1 results) Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Int'l Joint Research] Johns Hopkins University(米国)

    • Country Name
      U.S.A.
    • Counterpart Institution
      Johns Hopkins University
  • [Presentation] Fuzzy Core Equivalence in Large Economies: A Role for the Infinite-Dimensional Lyapunov Theorem2022

    • Author(s)
      Nobusumi Sagara
    • Organizer
      Euro 2022
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2023-12-25  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi