2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K01408
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
岡野 芳隆 関西大学, 経済学部, 准教授 (20513120)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 実験経済学 / 行動経済学 / 代表者の意思決定 / 調整行動 / 分配行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、一つ目のプロジェクトである「利益共有集団の代表者と意見集約」に関する研究を中心に進めた。前年度の分析結果では、集団への帰属意識を高めるためのチームビルディングタスクが、予想したような効果をもたらさなかったため、本年度は、新たな実験デザインの作成を行った。その過程で、当初の研究計画にはなかった新たな実験の必要性が生じたため、この実験を行った。具体的には、集団への帰属意識を最小限にとどめた集団(最小条件集団)を形成し、集団内・集団間での恩送りの違いを検証している。被験者は2回繰り返しの独裁者ゲームを行う。配分者と受領者の役割は1回目と2回目とで異なる。1回目と2回目で分配する相手も異なるが、2回とも内集団メンバーであるケース(内集団条件)と2回とも外集団メンバーであるケース(外集団条件)とを比較する。その結果、内集団条件の2回目の配分額が、外集団条件の2回目の配分額よりも多くなることが分かった。これは、たとえ相手が別の人物であったとしても、内集団メンバーにはより多くの恩送りをすることを意味している。ただ、本年度行った実験では、データ数が少ないため、来年度さらに追加実験を行う予定である。 また初年度に行った実験では、男女の争いゲームをもとに代表者の意見集約行動を検証したが、個人の意思決定と大きな違いを観察することができなかった。そこで、男女の争いゲームを拡張した以下のゲームで新たな検証を行うこととした。各集団は1から10までの数字のどれかを選択する。利得は、自集団が選んだ数字から「両集団の数字の合計と11との差の絶対値の2倍」を引いたものである。ナッシュ均衡は両集団の数字の合計が11になる数字の組すべてである。自集団の利得が10(相手集団が1)になる優位な均衡から自集団が1(相手集団が10)になる不利な均衡まで計10個の均衡がある。この実験を来年度実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の実験結果をもとに、新たな実験計画の必要性が生じ、さらにその過程で、別の新しい実験をデザインし、実施した。当初の研究計画からは遅れたことにはなるが、本研究課題を遂行する上で重要な研究アイデアであり、本研究課題がより充実したものになったと確信している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度から始めた実験の追加実験を行う。また、代表者の意見集約行動については、新たなゲームをもとに実験を実施する予定である。本研究課題の二つ目のプロジェクトである「投票で選ばれた代表者の公約とその遵守行動」に関する研究については、実験デザインを詰めていく必要があるので、先行研究をもとに実験デザインの詳細部分について検討する作業をしていく予定である。
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Causes of Carryover |
初年度の実験結果から、当初予想していたチームビルディングタスクに思うような効果が表れなかったため、新たな実験デザインを作成する必要性が生じた。また、その過程で新たな研究アイデアも出てきたため、その実験デザインに時間がかかり、予定よりも使用額が少なくなってしまった。来年度は、少なくとも上記で述べた2種類の実験を予定しているため、これに多くの人件費・謝金を必要とする予定である。
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