2022 Fiscal Year Research-status Report
ジェイムズ・エドワード・ミード:経済理論, 経済政策, 理性的急進主義
Project/Area Number |
22K01413
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
木村 雄一 日本大学, 商学部, 教授 (80436740)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | ジェームズ・エドワード・ミード / 国際収支 / 国際経済秩序 / 理性的急進主義 / ニコラス・カルドア / ライオネル・ロビンズ / LSE、ケンブリッジ、オックスフォード / アガソトピア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、20世紀にイギリスで活躍したオールラウンドな研究業績を残したイギリスの経済学者ジェイムズ・エドワード・ミード(James Edward Meade, 1907-1995)の経済理論と経済政策の第一次資料および「ミード文書」に所蔵されている未公刊資料全般を詳細に解読することで、ミードの経済学の全貌、すなわち(1) 経済理論と経済政策、(2) 戦争と戦後の国際経済秩序、(3) 国際経済学、(4) 税制改革、(5) 理性的急進主義としての社会ヴィジョン、を明らかにすることである。本年度は、研究課題の着手初年度にあたるので、まずは研究環境の整備や第一次資料の収集・整理を行いつつ、初年度のテーマである「経済理論と経済政策:理論と政策の緊張関係」について研究を行った。研究実施の具体的概要は以下の通りである。 ① 物品・資料収集・購入・・・本研究を遂行するために必要不可欠であるハードウエアであるノートパソコンを購入し、国内で入手しうる第一次資料や第二次資料については、大学図書館経由での文献収集・整理を行った。 ② LSE図書館への出張・・・2023年2月26日~3月4日にイギリスのLSE図書館へ「ミード文書」・「ロビンズ文書」の資料収集・調査のため出張した。「ミード文書」は、本研究課題にかかる重要な第一次資料である。「ロビンズ文書」は、ミードとロビンズの交流を探るために重要な資料である。 ③ 研究成果 ・・・本年度は、関税同盟や国際経済秩序形成においてミードの経済理論や政策に影響を与えた、アメリカの国際経済学者ジェイコブ・ヴァイナーに関する論考(「ジェイコブ・ヴァイナーと国際経済秩序ーブレトン・ウッズとその後」)を発表した。「ロビンズ文書」「ミード文書」の資料収集の成果を踏まえた研究については、資料の整理・論考の作成・投稿を経て、発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究初年度のため、ジェームズ・エドワード・ミードに関する資料収集および理論・政策・思想研究を中心に行った。コロナ禍のため、国内で入手しうる文献を中心にできるかぎり密を避ける研究スタイルでミード研究を進めてきたが、ようやく出入国制限が緩和されたため、本年度末の2023年2月26日~3月4日にイギリスのLSE図書館に出張し、「ミード文書」・「ロビンズ文書」の資料収集を行うことができた。一週間という短期間ではあったものの、「ミード文書」・「ロビンズ文書」の第一次資料の閲覧によって、ミードの全体像を把握することができた。本年度は研究初年度に当たるため、ミードをメインとする研究発表を行っていないが、次年度以降、「ミード文書」・「ロビンズ文書」の資料収集・整理の成果を踏まえた研究成果を徐々に公表していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、研究初年度のため、ジェームズ・エドワード・ミードに関する資料収集・理論研究を中心に行った。次年度以降は、コロナ禍の収束および「ミード文書」や「ロビンズ文書」の第一次資料の閲覧によって、研究発表や論文執筆を中心に据えて本研究課題の研究を加速させていくこととする。具体的には、1. LSE図書館に所蔵されている「ミード文書」を中心に内外の第一次資料をさらに検討すること、2. 内外の学会や研究会に積極的に参加し知見を得ること、3. 毎年コンスタントにミードに関連する研究論文を発表すること、である。本研究の成果として、最終的に、ミードの経済理論・経済政策・経済思想・生涯についての全貌が明らかになる研究書『ジェイムズ・エドワード・ミード:経済理論, 経済政策, 理性的急進主義』を上梓できるように研究を進めていく。なお、もし感染症等の影響で研究計画に変更が生じたら、計画変更・延長を随時行い、柔軟かつ迅速に対応する。
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Causes of Carryover |
本年度は、パソコン等の物品購入のほかに、イギリスへの出張を8月中旬もしくは12月中旬に予定していた。しかしイギリス出張については、国際情勢の悪化・コロナ禍および原油価格の高騰等による航空券・宿泊代等の上昇によって、本年度末の2月26日~3月4日に実施した。イギリスでの交通費や入館料等については、会計上の〆切である年度末の時期の執行および出張後事後精算のため、1,779円の残が生じた。この残については、次年度の使用額とし、研究書等の備品購入等の費用にあてる。
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