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2023 Fiscal Year Research-status Report

自由社会における暗黙知と信念:マイケル・ポランニーのプロフェッショナリズム

Research Project

Project/Area Number 22K01415
Research InstitutionFukui Prefectural University

Principal Investigator

今池 康人  福井県立大学, 経済学部, 准教授 (90935511)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2027-03-31
Keywordsマイケル・ポランニー / 学問の自由 / 暗黙知
Outline of Annual Research Achievements

令和5年度はマイケル・ポランニーの自由論の中でも特に学問の自由に焦点を当て検討を行った。
ポランニーの自由論では自由の相互調節機能が重視されており、個々の主体は共同体を作り上げ、相互調節を行う。市場では競争によって相互調節されるが、学問においては各研究者たちは学会や大学といった科学的共同体を作り、学会での公開討論や論文投稿といった説得(persuasion)の過程による調節が行われる。また、科学的共同体では科学は共通の信念によって次世代に引き継がれ伝統を形成していき、各成員はその伝統を信奉すると共に、その再解釈や改革をもたらす責任を負う。
ポランニーの主目的は国家の科学への介入に対する批判である。その論点は大別して三点に分けられる。第一に、暗黙知の存在がある。科学者の閃きの裏側には暗黙知と呼ばれる表出不可能な知識が存在するが、表出不可能であるが故に国家による計画に取り入れることはできず、むしろ不都合を呼び起こす。第二に、科学者の情熱が喪失すると言う問題が挙げられる。ポランニーによると科学とは情熱的な物であり、研究者は自身の興味に基づいて研究を行う。国家による介入は情熱を全面的に否定するわけではないが、科学者をニヒリズムへと陥れる可能性がある。第三にレフェリーの形骸化が懸念される。科学的議論とは専門家たちとの議論やレフェリーを経て公表されるべきだが、国家による介入が強まるとその過程は意味をなさなく成り、大衆の影響や政治的議論が優先されることとなる。
学問の自由とは研究者に許された特別の自由である。それが認められるためには国家だけでなく、大衆からの尊敬が必要となる。そのため、大学は伝統を維持し、自身の研究を広く大衆に訴えかけるべきである。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

令和5年度から担当講義が増えたことと夏季休暇中のコロナウィルスへの感染により、当初の予定より遅れが生じた。
こうした理由から、本年度は当初予定していた学会報告や海外での書簡調査を実行に移すことが出来なかった。
しかし、本研究の主要テーマの1つでもあるポランニーの学問の自由についての研究は行っており、令和6年度初めに学会報告も予定されているため(3)やや遅れている、とした。

Strategy for Future Research Activity

令和6年度においては前年度に主として研究を行ったポランニーの学問の自由に関する研究の発信に努める。
5月に昨年度研究成果の学会報告が予定されており、報告後は学術雑誌に投稿を予定している。
また、昨年とん挫した海外での書簡調査については為替状況の推移を注視しつつ、夏季もしくは春季休業中に調査に向かう予定である。

Causes of Carryover

令和5年度の夏季休業中にアメリカへと書簡調査に向かう予定であったが、大学業務の増加もあり、中止した。
そのため大幅な差額が生じているが、令和6年度以降に改めて書簡調査に向かうため、その際に使用する予定である。

URL: 

Published: 2024-12-25  

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