2022 Fiscal Year Research-status Report
株価・金利・為替・ビットコインの変動要因の推定・検定に関する研究
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22K01423
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷崎 久志 大阪大学, 大学院経済学研究科, 教授 (60248101)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | ビットコイン / 価格クラスタリング / 上海株式取引所総合指数 / 深セン株式取引所総合指数 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,以下のように,2本の論文を研究実績として発表した。 Ma and Tanizaki (2022) では,ビットコイン/円(BTC/JPY)について,ティク・データを用いて価格クラスタリングの現象が起こっているかどうかを検討した。同時に,クラスタリングの大きさが時刻で異なるかどうかも調べた。その結果,ビットコイン/円の下二桁が 00 で取引が多く価格クラスタリングの現象が現れていることを確認した。しかも,価格クラスタリングの大きさは,は日本時間で 2 時から 8 時にかけて,減少傾向が見られることが分かった。 Duan and Tanizaki (2022) では,上海株式取引所総合指数(SSEC)と深セン株式取引所総合指数(SZSEC)の株価データを使って,マーケット効率性が成り立つかどうかを調べた。古典的な方法として,誤差項に系列相関があるかどうか,誤差項のプラス・マイナスの符号がランダムになっているかどうかを調べることによって,株式市場の効率性の検証を行った。また,株のある売買ルールを作り,株を保有する期間の収益率と株を保有しない期間の収益率の差の検定を行い市場効率性を検証した。さらに,SSECがSZSECへの影響があるかどうか,逆に,SZSECがSSECに影響を与えるかどうかを調べた。市場が効率的であれば,他の株式市場からの影響はないと判断される。このように本論文では,いくつかの検定を用いて株式市場の効率性を検証した。その結果,多くの期間で中国の株式市場は効率的であるが,例えば,SSECの2015-2016あたり(中国経済の成長が鈍化した時期)には市場が非効率になっていたと結論付けられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
十分な研究成果が上がっている。しかも,研究報告を通して啓蒙的な活動も行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も今年度と同様に研究を遂行する予定である。特に,次年度は推定方法の開発も行うことを考えている。同時に,応用例として,株価やビットコインなどの実証分析を行う。
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