2023 Fiscal Year Research-status Report
復元再抽出による疑似標本の漸近正規性を用いたセミパラメトリック最尤法の開発
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22K01425
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
伊藤 高弘 神戸大学, 国際協力研究科, 准教授 (20547054)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | セミパラメトリック最尤法 / 質的・制限従属変数モデル / 二値選択モデル / 順序応答モデル / 打切り回帰モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、回帰モデルにおける誤差項の分布の仮定を必要としない、新しいセミパラメトリック最尤法(Semiparametric Maximum Likelihood Method)を開発し、二値選択(binary choice)モデル、順序応答(ordered response)モデル、打切り回帰(censored regression)モデルなどの質的(qualitative)・制限(limited)従属変数モデルへの応用を提示することにある。 R5年度は、以下の進捗があった。まず、昨年度執筆した新しい推計手法を提示する論文については、見つかった理論的な不備について大きく改訂を行った。昨年度、研究中であった二値変数・順序応答モデルへの応用に関しては、論文としてまとめることができた。分析結果は、非正規分布に従う誤差および観察不可能な異質性が存在する様々な状況において、また典型的な完全予測問題(PPP: perfect prediction problem)が存在する状況において、既存のパラメトリック、セミパラメトリックの手法よりも、本研究が提案する手法が優れた手法であることが示されている。 最後に、応用が不可能であると考えられた打切り回帰モデルについては、やはり直接的な応用は不可能であったが、外れ値に対して頑健な別の手法を考案し、二値変数モデルの本手法に基づいた推計を部分的に用いることが可能となった。すでにシミュレーション分析は完了しており、打切りデータに外れ値が存在する幅広い状況において、本研究のセミパラメトリック推計を用いた新しい頑健推計が、既存の最小絶対値偏差 (LAD: least absolute deviatoin) 推計よりも、バイアスの大きさおよび二乗平均平方根誤差(RMSE: root-mean-square error)の点で優れていることが示されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初想定していた、二値選択モデル、順序応答モデル、打切り回帰モデルへの応用のうち、最初の二つについては論文が完成しており、推定量の一致性・漸近分布についても、提示と証明が一応完成している。三つ目の打切り回帰モデルについても、論文執筆の目途が立っており、順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究が提案するセミパラメトリック最尤法の提案論文および二値選択モデル・順序応答モデルへの応用に関する論文については、研究報告・雑誌投稿などを通じて、更なる改訂を行う予定である。打切り回帰モデルについての論文については、更なるシミュレーション分析を加えて、論文としてまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額の大部分は、初年度にバイアウト経費を計上しなかったこと主な理由である。今年度に引き続き、来年度も業務代行を利用する。それに加え、三つ目の研究に関してリサーチ・アシスタントの雇用を追加する予定である。
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