2022 Fiscal Year Research-status Report
Macroeconomic Impact of Developments in Artificial Intelligence Technology
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22K01432
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
水島 淳恵 小樽商科大学, 商学部, 教授 (80536334)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 人口知能 / 所得格差 / 人的資本 / 経済成長 / 公共財 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、人工知能をはじめとする機械化の発展が我々個人の意思決定および、マクロ経済に与える影響を解明することを目的としている。こうした目的のため、研究計画の初年度となる本年度では、(1)関連する文献や実態の調査、(2)労働市場において不確実性があるもとでの家計の意思決定モデルの構築、(3)公共財の自発的供給における供給タイミングに関する研究、にかんしてそれぞれの研究を実施した。 まず、第1の研究では、昨今急速な発展がなされている人口知能の実情とそれに対する対応、人々の行動変化についての文献調査、および実態調査をおこなった。第2の研究では、人口知能の発展に伴い、高い人的資本を獲得しても雇用されないリスクが高まるとき、家計の人的資本投資の意思決定はどのような影響をうけるのか、に関する基礎モデルを構築した。第3の研究では、人口知能の発展に伴い、所得格差が生じる経済を想定し、公共財供給者間の所得格差が 公共財供給のタイミングにどのような影響を与えるかを理論的に明らかにした。この理論結果は経済実験において検証され、経済実験からは理論が示唆した結果をえることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍におけるボーダーコントロールの厳格化により、海外での研究発表や交流が当初計画していたとおりにできなかったこと。そして、所属が変わることとなったため、研究室の移転にともなう制約や設置に手間取ることとなってしまった。以上の理由より、予定していた研究計画がすこし遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画としては、以下、【A】~【C】のステップに従い、研究を発展させてゆく。【A】雇用不安リスクの下での個人の人的資本投資の意思決定をミクロ的基礎としたマクロ経済モデルを構築し、【B】人工知能技術の発展が、雇用不安リスクを通じて、経済成長にどのような影響を与えるのか、【C】持続的な経済成長率を維持しながらセカンドベスト解(与えられた予算や制度のもとで社会厚生を最大にする解)を実現させる経済政策を「教育政策」「雇用政策」に関して検討する。 研究計画の2年目以降は1年目に構築した基本モデルを学会、研究会等を通じて発表することにより、基本モデルの弱点を見極め、発展モデルへの足掛かりをつかみ、発展モデルの理論構築をおこなってゆく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍におけるボーダーコントロールの厳格化により、海外での研究発表や交流が当初計画していたとおりにできなかったこと。そして、所属が変わることとなったため、研究室の移転にともなう事務手続きの煩雑さのために、計画をずらした。そのために経費計画に関して、当初の予定とはことなってしまった。
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