2022 Fiscal Year Research-status Report
感染症まん延下の家計消費:コロナ禍が消費に与えた影響と民間ビッグデータの活用
Project/Area Number |
22K01438
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
中園 善行 横浜市立大学, 国際マネジメント研究科, 准教授 (10707483)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | マクロ経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では感染症まん延下における家計消費の実態を明らかにします。未曽有の事態でありながら消費への影響を即時に分析できない場合、政策当局者はどの家計に、どのタイミングで、いくら給付すべきなのかという問いに答えることができません。本研究では、どのような家計がどの程度、感染症まん延の影響を受けたのか、消費水準等を分析することで明らかにすることを目指します。 本年度は、新型コロナウイルスまん延によるマクロ経済指標の落ち込みの背景について分析を深めました。新型コロナウイルスまん延によって、家計消費は、これまでの景気後退局面と異なる様相を呈しました。それは感染への恐怖が家計の行動に影響を与えた点です。新型コロナウイルスは高齢者や基礎疾患を持つ人にとっては重症化のリスクが高いことが知られています。そのためコロナショックは、マクロ的なショックであるとともに、各個人によって異質的なショックとしても解釈可能です。本研究課題では、新型コロナウイルス感染に対する「恐怖」が消費に与えた可能性を検証しました。分析の結果、以下の二点が明らかとなりました。一点目は、感染症が拡大すると、高齢者は若者より支出を一割以上抑制している点です。二点目は、新規感染者数が増加すると、高齢者は若年者と比べ、買い物の頻度を抑制する点です。これらの結果は、新型の感染症がまん延した場合、「感染への恐怖」が消費行動に影響を及ぼすことを示唆しています。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文が複数公刊されるなど、計画はおおむね順調に進展しています。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き成果を国際査読雑誌に公刊させることを目指し研究を遂行する。
|
Causes of Carryover |
研究費を効率的に使用した結果、次年度使用額が生じました。
|