2023 Fiscal Year Research-status Report
Trade in environmental goods and FDI in international oligopolistic eco-industries
Project/Area Number |
22K01439
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
杉山 泰之 福井県立大学, 経済学部, 教授 (00533605)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 環境産業 / 環境物品 / 環境政策 / 貿易 / 直接投資 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、近年の環境財の貿易自由化と発展途上国への環境財生産企業の直接投資の拡大の動きを踏まえて、「環境産業が国際的な寡占競争下にあるとき、貿易を通じた環境財の普及と国内環境産業の発達の観点から、どのような環境政策や貿易政策が有効か。また、それらの政策はどのような水準に設定されるべきか。」を明らかにする。具体的には、(Ⅰ)環境財輸出国と輸入国の環境産業における対称的、非対称的な自由参入退出、(Ⅱ)環境財輸入国への直接投資を通じた生産技術のスピルオーバーとその吸収能力、という視点を分析に組み込むことで、環境政策や貿易政策が環境財の輸出国や輸入国の経済面、環境面に与える影響について、この分野の研究に新たな知見を加えることを目指す。
令和4年度は、海外の査読ジャーナルであるResource and Energy Economicsにおいて"Optimal Policy for Environmental Goods Trade in Asymmetric Oligopolistic Eco-industries"を公表した。また、本研究課題に関連する環境産業とスキル形成に関する論文"Skill Formation and the Production of Environmental Goods: The Role of Public Education"が、日本国際経済学会の査読ジャーナルであるThe International Economyに掲載された。
令和5年度は、昨年Resource and Energy Economicsに掲載された"Optimal Policy for Environmental Goods Trade in Asymmetric Oligopolistic Eco-industries"をベースに、環境財輸入国への直接投資の効果を分析するモデルの構築にあたった。現在のところ、末端での排出処理を行う企業の海外進出を考えているが、環境物品にはクリーンな消費財も含まれるため、現実と照らし合わせて、どのようなモデルで直接投資の分析を行う必要があるかを再検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和5年度は環境財輸入国への直接投資の効果を分析するモデルの構築にあたったが、実際にモデルの計算を行い、具体的な分析結果を得るには至らなかった。2年目に入り研究のスピード感がなくなってしまったことから、やや遅れているを選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、昨年推進しようとしていた、(1)先進国の環境財生産企業は実際に輸出とFDIのどちらを選択するのかという点を、環境政策や貿易政策との関係から具体的に明らかにしていくこと。(2)このとき、環境財の生産技術のスピルオーバーに対する発展途上国の競合企業の吸収能力が輸出とFDIの選択に与える影響も含めて検証していくことを着実に進展させたい。そのために、この分野の先行研究で明らかにされている点をもう一度整理し、分析手法の幅を広げることで、分析が上手くいかない場合の対策としたい。
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Causes of Carryover |
令和4年度の支出予定額の中で、大きな割合を占めていたノートPCにするか性能のよいデスクトップにするかを含めて選定が遅れ、依然として購入していないため。令和6年度に実際に購入する予定である。その他の支出についても、関連研究をしっかりと調べるために、PDF論文の購入を増やす予定である。
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