2023 Fiscal Year Research-status Report
相対利潤アプローチによる信用財市場の理論研究とフィールド実験
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22K01441
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
佐藤 敦紘 同志社大学, 経済学部, 准教授 (70735323)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 信用財 / 相対利潤 / フィールド実験 / 立地競争 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も理論分析を中心に行った。市場の競争度を連続的に考察可能な相対利潤アプローチを導入した信用財モデルの構築および分析である。昨年度は消費者の需要関数を用いた専門家の利潤を定義するために、ホテリングの立地競争をモデルに導入した分析を進めたが、そこでは2社の専門家の立地を所与として対極にしたため、立地選択は考察の対象外であった。そこに専門家の立地選択と相対利潤アプローチを導入し、相対的な市場の競争度と2社の距離を内生化したモデルを構築して分析を進めた。しかし、モデルが過度に複雑となり、専門家の選択変数の一つである価格設定に基づいた場合分けとその後の分析は停滞している。従来の信用財市場の理論分析で十分に考慮されていない需要の裏付けをもつ専門家の利潤を定義するために導入した立地競争であったが、それと相対利潤アプローチが共存するモデルの考察は、現状では困難だと言わざるを得ない。そのため、立地競争の信用財市場における専門家の虚偽行動を考察した論文の改訂と並行して、立地競争を含まない従来の信用財市場に専門家の相対利潤を導入したモデル分析を進めている。具体的には、前者では専門家の立地選択と消費者の立証可能性の精度、後者では相対利潤を考慮することで、ラボ実験等で観察される傾向のある虚偽行動と、既存の理論分析の均衡における専門家の行動の乖離を埋めることを目的とした理論分析である。また、理論分析と並行してフィールド実験の準備を進めた。横断的なデータ収集のために、関係各所の調査と調整を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度の立地競争モデルに相対利潤アプローチを導入し、専門家間の距離と相対的な競争度の関係を内生化したが、モデル全体の複雑さゆえに場合分けによる分析に頓挫した。モデルを簡略化するとともに、立地競争にこだわらず、異なるアプローチによる信用財市場への相対利潤の導入を模索している。また、信用財のフィールド実験の準備を開始して実施方法や時期等の詳細などの調整を進めたが、計画を前倒しての実施には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
フィールド実験を中心に進める。計画に沿った実施のために、関係各所との事前打ち合わせや協力者の募集などの調整を円滑に進める。計画とは異なる市場を対象とした実験も進め、実証分野での貢献に寄与したい。理論分析に関しては信用財の相対利潤アプローチやその一般化に固執せず、専門家の異質性や長期的関係に焦点を当てた考察を進めたい。
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Causes of Carryover |
次年度の実験には多額の費用が必要となり、昨今の経済状況からその金額は当初の見込みを大幅に上回ると予想される。また、計画とは異なる市場を対象とした実験も予定している。次年度の補助金ではそれら全てを賄うことができない可能性を考慮して、昨年度に引き続き本年度も補助金の使用を極力控えた。残額のほとんどは実験の費用に使用するが、出張費や論文出版に伴う費用等にも使用する計画である。
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