2023 Fiscal Year Research-status Report
産業間取引を考慮した一般均衡モデルによる分権的政策競争の定量的分析
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22K01452
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 亮 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (30516000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米本 清 高崎経済大学, 地域政策学部, 教授 (10462631)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 産業連関 / 人口移動 / 波及効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究成果は以下の通りである。 (1)産業連関分析を、独占的競走モデルの枠組みを用いて拡張した。交易費用低下の効果を定量的に評価し、かつその便益を計算可能な誘導系を導出し、かつそれらを直接効果、間接効果、独占的競争による金銭的外部性に分割することを可能にした。北海道における高速鉄道整備を念頭に置いた数値計算では、金銭的外部性の効果が全体の15%程度を占め、外部性を考慮しないモデルでは、これらを過小評価することが示された。この結果は現在論文としてまとめている最中である。 (2)移民の行動を考慮した人口移動の解析を行なった。世代重複型動学モデルを用いた形跡により、移民側の支援だけでなく、受け入れ側の支援も同等以上に必要であることが明らかとなった。また、移民側と受け入れ側への支援が異なる影響を持ち、特に移民側への支援が、受け入れ側の受け入れの積極性を減らす可能性があるため、支援を行う際に注意が必要であることが明らかにされた。また、これらに関するアメリカのデータを用いた実証分析も行い、理論的な仮説がデータ上でも適切であることが確認された。この研究はEuropean Economic Review誌に掲載されている (3)既存の産業連関表をもとに、今後の交通分野を入れた分析を行うための他データとの結合を実施している。交通部門を念頭に置いたデータの拡張を行い、それらが適切に行われているかなどのチェックも実施済みである。データの整備は概ね終了し、次年度は本格的な解析に入る
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定した研究は多少の軌道修正を得ながら概ね順調に進展し、論文執筆に着手している。またデータ整備も順調に進んでおり、次年度に解析を行う準備が整っている。また、昨年度以前に着手した研究が、学術誌に掲載されている
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、すでに執筆中の論文において幾つかの追加分析を行なった後に、学術誌へ投稿を目指す。また整備済みのデータの解析を行う。モデルについては、すでに作成済みのものを変更して用いる
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で国際学会が中止になり、次年度以降で学会発表を行うように予定を変更したため
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