2023 Fiscal Year Research-status Report
地球環境に優しい都市システムの構築と空間経済分析のフロンティア
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22K01484
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
田渕 隆俊 中央大学, 国際経営学部, 教授 (70133014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 孝明 東京大学, 空間情報科学研究センター, 教授 (30262091)
佐藤 泰裕 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (30332703)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 空間経済学 / 地域発展 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度に続いて、「空間経済理論の再構築」を中心に研究を遂行した。空間経済学を代表するMelitz and Ottavianoのモデルにおける問題点を指摘しつつ、さらに一般的な空間経済理論を行い、国際学術誌に投稿した。また、「中国の近年の経済発展のモデル」は、国際学術誌に投稿したところ、動学的な展開を指摘されたので、動学的な理論化を行い、再投稿したところである。 さらに、スーパースター都市における研究を開始した。生産活動によって生じる環境汚染を都市経済モデルに明示的に組み込むことによって、スーパースター都市が生じる経済条件を分析しているところである。 また別の理論研究では、第1次産業から第2、第3次産業への変遷と農村から都市への人口移動を同時に説明する理論モデルの開発を行っている。 その他、都市における知識創造とイノベーション、外国人労働力の流入と知識創造、多国籍企業や地域公共財などについては、実証的かつ理論的な研究を開始したところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グローバル化や東京一極集中などの近年の都市経済・都市環境の変化を踏まえつつ、「空間経済理論の再構築」に関する研究では、Melitz and Ottavianoのモデルに内在する問題点を解決する方向で研究が進んでいる。 また、「中国の近年の経済発展のモデル」については、2024年3月に中国の浙江大学を訪問し、Xixei Zhu教授と直接共同研究を行った。モデルの動学化に成功したので、論文にまとめ上げ国際学術誌に再投稿したところである。 一方、スーパースター都市における研究は、生産活動によって生じる環境汚染を都市経済モデルに組み込む試みである。2023年8月にドイツのUniversity of Wuerzburgを訪問し、Michael Pflueger教授と直接共同研究を行い、順調に進みつつある。 さらに、第1次産業から第2、第3次産業への変遷と農村から都市への人口移動を同時に説明する理論モデルの研究をスタートさせたところである。 その他、都市における知識創造とイノベーション、外国人労働力の流入と知識創造、多国籍企業や地域公共財などについても、順次研究を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
「中国の近年の経済発展のモデル」については、モデルの動学化をさらに推し進めることによって、新たな知見を得ることを目指している。 スーパースター都市における研究では、各都市において、大気汚染を生じさせる生産を行うか、大気汚染を生じさせない生産を行うかを、住民投票によって決定するいわゆる中位投票者モデルを発展させる予定である。住民の人口移動によって、住みわけが行われると考えられるので、その結果どのような空間均衡が生じるかを分析する予定である。 一方、第1次産業から第2、第3次産業への変遷と農村から都市への人口移動を同時に説明する理論モデルの研究であるが、どのような効用関数や生産関数であれば、現実と整合的な結果が得られるかを分析する。さらに、どの産業における技術進歩が重要な要因であるかを分析する予定である。 また、都市における知識創造とイノベーションや多国籍企業の役割などについても、研究を推進する予定である。
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Causes of Carryover |
スーパースター都市における研究は、University of WuerzburgのMichael Pflueger教授との共同研究である。2024年初頭に来日の予定だったが、Michael Pflueger教授側の事情により2024年9月に延期となったので、次年度使用額が生じた。 また、都市における知識創造の研究とイノベーションや多国籍企業の役割に関する研究についての計量経済分析は、2024年度に重点的に行うことになったので、次年度使用額が生じた。
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