2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K01488
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
池田 晃彦 京都産業大学, 経済学部, 准教授 (20825799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木口 武博 日本大学, 商学部, 准教授 (00409624)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 新興国 / 移民 / 景気変動 / 為替レート / 金融政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、移民発生と金融政策の関係についての理論分析を中心に進めた。特に、新興国でみられる為替レートの安定を重視した金融政策の運営方針が、不況時の移民流出にどのように影響するのかについて検討した。分析では小国開放経済の設定の下で対外借入と労働市場のサーチモデルを導入した動学的確率的一般均衡モデルを利用し、為替レートの安定を重視する金融政策とともに国内供給ショックや海外金利ショックを加えて、移民数の変化をシミュレーションにより検討した。分析の結果、金融政策の運営方針が移民数に及ぼす影響は不況の原因によって異なることが示された。まず、不況が国内での負の供給ショックによって引き起こされている場合には、為替レートの安定化を重視する金融政策運営は移民流出を抑制し、国内雇用を増加させるとの結果となった。一方、海外金利ショックによる不況の場合には、同様の政策により移民流出が増加し、国内雇用が減少することが示された。また、理論分析と並行して、各国政府および国際機関による報告書や公開データの収集・整理など、実証分析に向けた作業も行った。この中で、新興国の過去の事例の中に上記の分析結果の例とみられる事象も散見されたが、必ずしも理論と整合的でない部分もあることから、データをふまえた定量的な分析を進めるとともにモデルの拡張を検討している。以上の分析結果および検討内容については、論文 “Exchange Rate Policies and Emigration in Emerging Economies” としてまとめ、日本経済学会2023年度秋季大会への投稿を完了し、発表に向けた準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
移民変動と金融政策の関係についてモデルの構築と分析が完了し、学会で結果を発表する準備が整ったことから、おおむね順調に進展しているものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度の結果について学会発表を行い、参加者からの指摘をふまえてモデルの修正および拡張を行う。また、VAR分析等の手法により新興国の実際のデータの動きを検証し、それをふまえてモデルの改良を進め、政策効果のより詳細な推定を行う予定である。
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Causes of Carryover |
購入を予定していたPC等の機器の多くが当初の想定よりも低価格で調達できたため使用額が抑えられた。残額は高騰の予想される次年度の旅費等に充当する予定である。
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