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2023 Fiscal Year Research-status Report

Effectiveness of Kimberly process certification system

Research Project

Project/Area Number 22K01490
Research InstitutionKansai University

Principal Investigator

新熊 隆嘉  関西大学, 経済学部, 教授 (80312099)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 東田 啓作  関西学院大学, 経済学部, 教授 (10302308)
村上 進亮  東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (40414388)
Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords資源の呪い / キンバリープロセス / 紛争ダイヤモンド / Gravity model / マテリアルフロー分析
Outline of Annual Research Achievements

当該年度においては、「資源の呪い」について新たな視点から捉え直すことを試みた。すなわち、それは資源国の人民をローカル・エリート(政治家)とローカル・ピープルに分断して、資源を収奪するというグローバル・エリート(国際金融資本・多国籍資源採掘企業)による分断統治の結果であると。グローバル・エリートは、少数のローカル・エリートに賄賂として資源収入のほんの一部の金を掴ませ、残りすべてを国外に持ち出すことに成功してきた。
このような見方に立てば、国際社会として「資源の呪い」に取り組み、紛争ダイヤの締め出しを目指したキンバリープロセスに対する見方も大きく修正されねばならず、キンバリープロセスもグローバル・エリートによる分断統治政策の一環として捉える必要がある。ローカル・エリートとローカル・ピープルを分断し、ローカル・エリートと手を結ぶことでグローバル・エリートは資源を収奪してきたが、このやり方がいつでも成功していたわけではない。ローカル・エリートが分裂することもあり、新たな勢力がローカル・エリートとして名乗りを上げ、それが紛争に発展することもある。そうなればグローバル・エリートによる資源の収奪ができなくなってしまう。キンバリープロセスは、紛争ダイヤではないという認証管理を一元的に資源国政府に対して迫るものである。これは、政府を構成する現ローカル・エリートに対してチャレンジする新興勢力を抑え込むように働く。なぜなら、キンバリープロセスの非紛争ダイヤ認証制度の下では、新興勢力が支配する非認証ダイヤは国際市場で安く買いたたかれるからである。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

上述したように、「資源の呪い」についての新たな視点から捉え直すことを試みたが、こうした見方が正しいことを立証するのは難しい。そのためには、キンバリー・プロセスの実効性が高まる過程において、グローバル・エリートが支配するダイヤモンド業界、ローカル・エリート、ローカル・ピープル間の所得分配がどのように変化していったのかを検証する必要があるが、現在のところ、データによる検証方法を検討するに留まっている。これが、「やや遅れている」という自己評価にいたった理由である。

Strategy for Future Research Activity

キンバリー・プロセスの他にも各アクター間のパワーバランスの変化に対処して、グローバル・エリートが資源を効率よく収奪し続けることを可能とする仕組みとして、EITI(Extractive Industries Transparency Initiative)やドッド・フランク法を考えることができる。EITIは、資源採掘企業に対して資源国政府に税やロイヤルティをどれだけ支払ったかについて報告することをもとめ、一方、資源国政府に対しては、資源採掘企業から税やロイヤルティをどれだけ受け取ったのかについて報告をもとめている。多国籍資源採掘企業による資源収奪のプロパガンダに対抗し、ローカル・ピープルからの不平不満をローカル・エリートに向けさせるための仕組みとしてEITIを理解することができる。
また、ドッド・フランク法においては、紛争鉱物とは、(キンバリー・プロセス同様)政府と敵対する反政府武装組織が支配する鉱物として定義される。つまり、政府軍がダイヤモンド採掘セクターから得た収入で武器を購入し、反政府組織と戦闘状態にあっても、そのダイヤは紛争ダイヤとは認定されない。このようにキンバリープロセスとドッド・フランク法のどちらもグローバル・エリートがそれと暗黙の協定関係にある現役のローカル・エリートを敵対する新興勢力から守る仕組みと考えることができる。
キンバリー・プロセスだけでなく、EITIやドッド・フランク法をも分析対象に含めることで、データによる検証もしやすくなるのではないかと考えている。

Causes of Carryover

研究の方向性を修正したことで、研究期間を延長する可能性が生じてきたため、当該年度における拙速な支出を控えた結果であると理解している。

  • Research Products

    (2 results)

All 2024

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results)

  • [Journal Article] The effects of regional goal setting on household waste2024

    • Author(s)
      Yuichi Ishimura, Takayoshi Shinkuma, Kenji Takeuchi, Eiji Hosoda
    • Journal Title

      Ecological Economics

      Volume: 215 Pages: 1-14

    • DOI

      10.1016/j.ecolecon.2023.108015

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] SDGsに捧ぐー森の循環思想とその起源2024

    • Author(s)
      新熊隆嘉
    • Journal Title

      環境情報科学

      Volume: 53-1 Pages: 59-64

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2024-12-25  

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