2023 Fiscal Year Research-status Report
Empirical Study on the Impact of Borrowing Size in Inter-Regional Networks
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22K01501
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
大塚 章弘 横浜市立大学, 国際商学部, 准教授 (90392745)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 地域間ネットワーク / 借用規模 / 集積の経済 / 全要素生産性 / 生産効率性 / エネルギー効率 / 電力需要 / 国土計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は集積の経済の広域的活用という観点から地域間ネットワークの在り方をborrowed size 効果(借用規模の効果)から定義し,経済効率と環境効率の両立可能性という観点から高速交通ネットワーク形成が地域経済の持続可能性に与える影響を定量的に明らかにする。そして,現在の国土形成計画の妥当性を評価し,コロナ後の地方創生と脱炭素社会を見据えた新たな国土形成の在り方を検討する。2023年度は研究計画の2年目として,1)計画の初年度に整備したデータセットをもとに,地域別産業別に全要素生産性指標を計測し,地域別産業別の生産性パフォーマンスを評価した。2)地域間格差を評価する分析手法を開発し,全要素生産性の地域間格差収束について産業別に分析した。さらに,計測した生産性指標のパフォーマンスについて,地域間ネットワークの影響を借用規模の効果の観点から分析し,評価した。分析の結果,主に以下の点が明らかになった。なお,以下の主要な結果は学術論文として全て海外論文誌にて発表している。 ・観測期間において,産業別全要素生産性のパフォーマンスは製造業が非製造業を大きく超過した。 ・製造業の全要素生産性は地域間格差の収束を伴いながら成長する一方で,非製造業の全要素生産性は地域間格差の収束が観測されない。 ・地域経済の生産性パフォーマンスは,従来の産業集積効果だけでなく,地域間ネットワークを通じた借用規模の効果も享受している。 ・借用規模の効果は製造業で大きく,地域間ネットワーク形成に伴うストロー効果はほとんど顕在化していない。 ・サービス産業の生産性は相対的に低く,観測期間を通じてほとんど成長していない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度に構築したデータベースを活用することで,全要素生産性指標の計測とその地域別産業別パフォーマンスの評価,地域間格差に関する実証分析の実施が可能となった。 研究実施計画に定めた研究仮説の検証を実施し,分析で得られた主要な検証結果を学術論文に取りまとめて海外論文誌に発表し,採択された。
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Strategy for Future Research Activity |
・地域別産業別の視点から生産性分析を継続実施し,政策的示唆を提示することを目指す。 ・次年度は,製造業と非製造業を分析対象とすることで研究を深掘りし,全要素生産性パフォーマンスの決定要因に関する考察を深める。 ・特に,生産性パフォーマンスが十分に発揮できない諸要因を特定することで,産業立地政策に対する政策的示唆を提示することを目指す。
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Causes of Carryover |
・次年度使用が生じた理由は研究備品が想定よりも安価に購入することができたためである。 ・次年度に繰り越した経費は学術論文のオープンアクセス化に充当することを計画している。
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Research Products
(6 results)