2022 Fiscal Year Research-status Report
水害リスク情報の公開および浸水被害がリスク認知に与える影響に関する調査
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22K01508
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
安田 昌平 日本大学, 経済学部, 専任講師 (10875686)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 主観的災害リスク / 客観的災害リスク / 防災行動 / ヘドニックアプローチ / 水害 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度においては、水害リスクと不動産価格の関係についての既存研究の整理を中心に進めた。水害リスクと不動産価格の既存研究は、米国を中心に一定の蓄積がある。特に、実際の水害被害の前後で不動産価格がどのように変化するのかを分析したものが多い。Yi and Choi (2020)やHennighausen and Suter(2020)は、浸水被害の有無と浸水想定区域内外によって地域を区分し、各地域における水害リスクの影響を分析し、Cohen et al. (2021)は、浸水被害が浸水被害のない地域に与える影響を分析している。一方、日本国内における既存研究は限定的である。白川(2021)は、2008年8月名古屋市において発生した浸水被害が、公示地価に与えた影響を分析している。染岡・有村(2021)は、広島を分析対象とし、2度の土砂災害の前後で水害リスク認知に変化があったかどうかを公示地価を用いて分析している。さらに本年度は、データの整理も進めた。アットホーム株式会社 不動産データライブラリーの賃貸マンションデータ(Joras提供)を入手し、分析用データとして加工した。具体的には、2015年9月に豪雨被害にあった茨城県常総市の浸水被害地域から5km以内のデータを抽出し、浸水想定区域内かつ浸水被害を受けた地域(524件)、浸水想定区域内かつ浸水被害を受けなかった地域(688件)、浸水想定区域外で浸水被害を受けなかった地域(4,374件)の3区分に分割をした。その結果、浸水想定区域外で浸水被害を受けなかった地域、浸水想定区域内かつ浸水被害を受けた地域では、浸水被害後に登録物件数が増加しており、それに伴い賃料/㎡も下落している一方、浸水想定区域内かつ浸水被害を受けなかった地域では、登録物件数が減少し、賃料/㎡が上昇していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度までに、実施計画通りに既存研究の整理、データの入手と整理まで終えることが出来ている。一方で、国内学会での報告が行えていない。 したがって、「やや遅れている」と言えるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、既存研究の結果を踏まえて、入手したデータを用いて実証分析を進めていく予定である。まずは、得られたデータから検証可能である「実際の浸水被害によって水害リスク認知がどのように変化するのか(研究課題Ⅱ)」について分析を進めていく。
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Causes of Carryover |
今年度では、既存研究の整理とデータの入手および整理を中心に行ったが、国内学会での報告が出来なかった。また、データについても空間的な分析に必要なデータの入手が十分でなかったため、次年度使用額が生じてしまった。 次年度では、国内および国際学会で研究成果を報告する予定である。また、実証分析を進めるにあたってGISや統計ソフトを購入する必要があり、一部の作業をアルバイトに依頼することも考えている。したがって、物品費、旅費、人件費が必要となる。
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Research Products
(1 results)