2022 Fiscal Year Research-status Report
大学学部の講義科目における反転授業の効果:ランダム化比較試験による測定
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22K01527
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
市野 泰和 立命館大学, 経済学部, 教授 (50280706)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 麻衣 立命館大学, 経済学部, 准教授 (70771468)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 反転授業 / アクティブラーニング / 大学 / 講義科目 / ランダム化比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究のパイロット版として2021年度に「経済学入門」という科目で実施した反転授業の実験は,コロナ禍による授業のオンライン化のため,対面での反転授業だけでなくオンラインでの反転授業の効果も検討した自然実験研究として論文を作成した.主要な研究結果は,対面形式での反転授業は学習成果にマイナスの効果を持つが,オンライン形式での反転授業は学習成果にプラスの効果を持つ,というものである.この論文は2022年5月Journal of Economic Educationに投稿したが,掲載不可となった.その査読コメントを参考に論文を改訂し2023年2月にInternational Review of Economics Educationに投稿した.改訂のうえ再投稿の返答を得ており,現在,再投稿に向けて改訂中である. 2022年度の「経済学入門」で実施した反転授業の実験は,計画通り,全面的に対面授業で実施できた.363名の受講生のうち338名からデータ使用の同意を得ている.2022年度の実験では,2021年度と比べて次の点でデータがより豊富になっている.(1)演習問題への解答提出も学習努力の指標とした,(2)反転授業ではランダムに分けたグループを固定し,TAへの質問回数などを記録してグループの活発さを計測した,(3)小テストは対面の教室で行い厳格さを高めた,(4)自己調整学習方略やグループ学習への態度などを,初回,通常講義後,反転授業後の3回,アンケートで尋ねた,(5)数学と英語のプレイスメントテストの点数の使用許諾を得た. 2022年度実験のデータを使った暫定的な分析では,2021年度パイロット版と異なり,対面の反転授業は学習成果にプラスの効果を持つという結果を得ている.これは,反転授業におけるグループ分けをランダムに行うことの重要性を示唆しているというのが現段階での推測である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度,研究代表者が所属機関の要職に就くことになったため,やむを得ず日常的な研究活動に制限がかかり,2021年パイロット版研究の論文改訂に時間を要してしまった.それにより,2022年度実験のデータ整理にもやや遅れが生じた.また,当初はこの状況を補うことも含めリサーチアシスタントを雇用する予定でいたが,適切なリサーチアシスタントを見つけられなかったことも,データ整理に遅れが生じた理由の一つである.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度実験のデータについては,学習成果を測る変数(小テストの点数と期末テストの点数)と,実験前の受講生の特性を表す変数(英語と数学のプレイスメントテストの点数,事前のアンケート回答)の整理は終えており,暫定的な分析結果を得ている.いっぽう,動画視聴時間や疑問の提出,演習問題の解答提出,グループの活発度など,学習努力を測る変数はまだ整理ができていない.2023年度前期(4月から9月)のうちにそれらデータを整理して統計的分析を行う.データの整理においては,単純な作業も多くあるため,大学院生のリサーチアシスタントを見つけるのが難しい場合には,学部生のアルバイトを雇用することも検討する. 2023年度の「経済学入門」における実験は,2023年4月末現在,順調に進んでいる.2021年度のパイロット版研究の論文改訂は2023年6月には終了するため,2023年度実験のデータは学期終了後ただちに整理を始める.
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Causes of Carryover |
2022年度は,研究に使用する機器(パソコンやタブレットなど)の購入が予定よりも少なかった.2023年度に必要な機器を購入する. 2022年度には国内と海外で1回ずつ研究発表を行ったが,どちらもオンラインでの発表だったため,旅費の使用が少なくなった.2023年度には,2022年度実験の結果を国内・海外の学会等で報告する. 2022年度は適切なリサーチアシスタント(RA)が見つからなかったためRAを雇用しなかった.2023年度は,適切なリサーチアシスタントを探すとともに,データの整理については単純な作業も多くあるため,学部生のアルバイトの雇用も検討する.
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Research Products
(2 results)