2022 Fiscal Year Research-status Report
Empirical analysis of corporate income tax using corporate financial data
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22K01529
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
上村 敏之 関西学院大学, 経済学部, 教授 (00328642)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 法人所得税 / 実効税率 / Forward-looking型 / 抜本的税制改革 |
Outline of Annual Research Achievements |
法人所得にどのぐらい課税がなされているかを測定する指標に実効税率があるが、有名な財務省型実効税率は法定税率の組み合わせであり、課税標準の概念がないことから、実態を把握することが難しい。先行研究にある法人所得の実効税率を分類すると、平均実効税率と限界実効税率の2種類に加えて、Forward-looking型とBackward-looking型の2種類がある。上村(2022a,b)では、これらの4類型の実効税率について、その理論的な特徴と日本を対象としたすべての研究をサーベイして論文にまとめた。このうちForward-looking型法人実効税率は、景気変動と企業のタックスプランニングを排除できる指標であり、OECDも重視している。すでにUemura(2022)では、日本企業の財務データを用いて、2010年代のForward-looking型実効税率を推計し、平均実効税率と限界実効税率はともに低下しているが、その分布は全者よりも後者の方で大きいことを明らかにしていた。その上で他国では、平均実効税率を維持しながら、限界実効税率を低める改革を行った国があり、これはある程度の税収を維持しながら国内の投資へのインセンティブを高めることを目的にしていると考えられ、日本としても参考になる。そこで、主に資金調達の中立性を確保する抜本的税制改革に、CBIT、ACE/ACCがあるが、これらを導入したときに実効税率にどのような影響がもたらされるかについて、上村(2023)において検討を行った。包括的なサーベイを行ったこと、日本を対象とした実効税率の計測を行ったこと、さらには抜本的税制改革がもたらす実効税率への影響を考察した点が、当該年度の本研究の成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究の広範なサーベイを行うことができ、さらには日本を対象として抜本的税制改革によるForward-looking型法人実効税率への影響を分析できたことで、順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては、地方の法人所得税、または、株主への資本所得税を含めた実効税率の研究に範囲を拡大した研究を行う。さらには、実効税率と同じ研究手法であるB-indexについて、広範なサーベイを開始する。
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Causes of Carryover |
OA用紙などの消耗品が予定よりも必要でなかったため。
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