2022 Fiscal Year Research-status Report
Regional differences in women's work and representation in Japan
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22K01531
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
安部 由起子 北海道大学, 経済学研究院, 教授 (50264742)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 女性就業 / 女性活躍 / 地域差 |
Outline of Annual Research Achievements |
女性の労働力率や就業率について、学歴別の状況を統計から検討した。2000年前後の時期、OECD加盟国では、高学歴女性の就業率は高学歴以外の女性の就業率を20%ポイント程度上回る場合が多かったにもかかわらず 、当時日本では高学歴女性の就業率は62.7%、高学歴以外の女性の就業率は62.6%と、ほぼ同水準であった。本研究では、この「日本では高学歴女性の就業率が高くない」ことと、出産・子育て期に就業率が低下し40歳代以降に上昇する、いわゆる「M字型」の形状との関連を検討し、かつ、近年の女性の就業率の上昇によって、「高学歴女性が働いていない」状況にどのような変化がみられたのかを検証した。2020年の国勢調査によれば、(1)高学歴女性の就業率は、高学歴以外の女性の就業率を、3.7パーセンテージ・ポイント上回っていること、(2)しかし年齢階級別にみると、2020年においても、大卒の就業率が顕著に高いのは30歳代前半までであって、30歳代後半以降においては、就業率は短大高専卒・高卒とほぼ同程度であること、の2点がわかった。大卒女性については就業率はM字型ではなく、40歳代以降の就業率の上昇が小幅にとどまる「きりん型」であることが、以前から指摘されている。そこで、大都市に居住する大卒女性の「きりん型プロファイル」に地域差があるのかどうかを検討した。国勢調査(2020年の公表データ、および、2000年のオーダーメイド集計データ)を集計した結果、東京都23区や関西地域の大都市では、その他の大都市地域よりも、「きりん型」の傾向が強いことが、データの上ではわかった。これらの変化の要因や帰結については検証できていないが、それは次年度以降に検討したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
この研究では、女性就業・女性活躍の地域差について、地域の実感を理解する調査を実施する計画をもっているが、新型コロナ感染拡大に伴う移動制限や感染予防の観点から、地域を訪問しての調査は制約を受けた。そのため、統計データを用いた分析を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度以降は、地域の実情を調査する。さらに引き続き、オンサイト施設などでの利用も含め、統計データの集計作業を行っていく。また、すでに得られた結果を論文にまとめ発表することで、研究内容の問題点を明らかにし、それらに対処していくことで研究を改善していく。
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Causes of Carryover |
この研究では、女性就業・女性活躍の地域差について、統計データだけではなく地域の実感を理解するため、女性活躍や女性就業率について特徴的な傾向がみられる地域で調査を実施する計画をもっている。しかしながら、新型コロナ感染拡大に伴う移動制限や感染予防の観点から、旅費を使い地域を訪問しての調査には制約を受けた。旅費の支出がなかったため、次年度使用額が生じているが、次年度以降は地域を訪問しての調査も実施したいと考えている。
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