2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K01535
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
内藤 克幸 大阪公立大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (70634228)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 公共投資 |
Outline of Annual Research Achievements |
経済政策が政治過程を通じて決定される世代重複モデルを構築し、いくつかの財政ルールの下での経済政策の特徴及び経済成長パターンの性質を分析し、得られた成果をまとめた学術論文を国際学術雑誌に投稿した。 本研究で構築した理論モデルの概要は以下のとおりである。個人は若年期と老年期の2期間を生き、私的財消費と公共財消費から効用を得る。企業は私的資本と労働を投入することで財生産し、その生産技術は公共資本に依存する。市場は全て完全競争的である。政府は資本所得課税、労働所得課税及び公債発行を財源として公共財供給と公共投資を実施し、経済政策の規模(資本所得税率、労働所得税率、公共財供給量、公共投資量、公債発行量)は毎期の確率的投票を通じて決定される。まず、ベンチマークとして財政ルールが一切存在しないケースでの政治経済均衡の性質を詳細に分析し、さらに、公債天井ルール(公債発行量に上限が設定される財政ルール)と財政の黄金律ルール(公共投資の財源としてのみ公債発行が認められる財政ルール)という2つの財政ルールの下での政治経済均衡の特徴を検討する。 本研究で得られた主な結果は以下のとおりである。まず、公債天井ルールは経済成長率を上昇させ、将来世代の経済厚生を引き上げるが、現在世代の経済厚生を引き下げてしまう。また、本研究の単純なモデルにおいては、財政の黄金律ルールは経済成長や各世代の経済厚生に対して何ら影響を及ぼさない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初想定していたよりもモデル分析(特に、公債天井ルールの下での政治経済均衡の性質の分析)に時間を要したため、本研究の進捗は若干遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は世代内での異質性等を導入することによってモデルを拡張するとともに、完全競争市場の仮定を外し、市場の不完全性が政治経済均衡上での経済成長や各世代の経済厚生水準にに及ぼす影響を分析する。
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Causes of Carryover |
当初は本年度での購入を想定していた物品等を次年度に購入するように予定を変更したことが次年度使用額の発生理由である。 次年度では、上記の物品等購入及び当初から予定していた計画に基づいて助成金を使用する。
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