2022 Fiscal Year Research-status Report
なぜ、日本におけるジェンダー格差の取り組みは遅れているのか?文化的背景の解明
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22K01546
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Research Institution | Kyoto Bunkyo University |
Principal Investigator |
筒井 義郎 京都文教大学, 総合社会学部, 教授 (50163845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 智 関西学院大学, 経済学部, 教授 (10351727)
石川 大輔 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (50419454)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ジェンダー格差 / 文化的背景 / 世界観 / イスラエル / 幸福度 |
Outline of Annual Research Achievements |
「職場環境・職務経験が女性の昇進意欲に与える影響」を公刊した。日本においても、女性の就業度は近年高くなってきているが、役職・管理職の比率はなかなか高くならない。SDGsでも言われているように、それぞれの個人が働く場での女性の地位向上が重要な課題となっている。この研究では、そもそも、女性の昇進意欲が高くないという事実に着目して、どのようにすれば昇進意欲を高めることができるかを探った。その結果、リーダーを多く経験することが女性社員の昇進意欲を高めることがわかった 。とりわけ、リーダーの経験頻度が数回以上である場合に効果が現れることを明らかにしたことが本研究の利点である。また、管理職が、家庭と仕事の両立などに関して、部下の状況に応じた配慮をすることも重要な要因であることが分かった。 社会のあり方と幸福に関するアンケート調査の結果を用いて、日本社会における能力と努力の評価、格差・差別、所得再分配、労働時間などについて予備的な分析を行った。とりわけ、女性の処遇について人々がどのように考えているかに注目した。「この10年間、日本では女性の進出が進んだ」と考える人は50%超であるが、「女性の方が恵まれている」との質問に、「そう思う」との回答が20%であるのに対し、「そう思わない」は30%であった。「そう思う」は男性で多く、女性では、それぞれ16%、36%であった。この結果は日本においては、女性は概して不利な立場にあるが、多くの人は、男女ともにそれほど強くそう思っていないことを示している。本調査には役職のデータも含まれており、これを用いた分析も予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していた賃金関数の推定はできなかったが、役職・管理職の比率を高めるための方策を明らかにする研究に取り組み、その方策を具体的に提唱することができたのは大きな成果であった。また、独自のアンケート調査を用いて、日本社会の仕事、賃金、労働時間、労働年数などについて、人々がどのような意識を持っているかを知ることができたことも、重要な成果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の目標は、本研究課題において最も重要な分析のためのデータを得る作業を完遂することである。質問票には、ジェンダー差別の実態を明らかにすること、賃金格差を把握することに加えて、昇進・職業的地位、家事労働負担、痴漢・セクハラといった項目を含む。本研究課題の特徴は、日本においてジェンダー差別が解消されない根本的な原因が女性の役割分担の位置づけにあり、そうした社会規範は儒教や仏教、日本における民主主義の質にあるという仮説にある。したがって、それを明らかにするために、信仰心、宗派、いろいろな世界観(民主主義、公平、公共、集団主義/個人主義、不平等回避、社会への信頼度、利他性)に関する質問に留意する。さらに、平行的な調査をイスラエルにおいても実施する。
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Causes of Carryover |
実支出が予定していた使用額を下回ったため。次年度、必要な支出に応じて使用する予定である。
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Research Products
(3 results)