2022 Fiscal Year Research-status Report
非伝統的金融政策の役割の再検討:マクロ実証分析からの解明
Project/Area Number |
22K01552
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
宮尾 龍蔵 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (40229802)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 非伝統的金融政策 / マクロ実証分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、マクロ時系列分析の手法を日本と米国のデータに応用し、非伝統的金融政策の役割について実証的な再検討を行うことである。具体的には、経済の供給面への影響、政策効果の違いをもたらす経済条件などに着目した新たな分析を行うことを目的とする。 2022年度は、政策効果の違いをもたらす経済条件に関するテーマについて、特に貨幣量と物価の関係に焦点をあてた分析を進めた。貨幣量の増加は、量的緩和政策および資産買入れ政策によってもたらされるもので、現代の非伝統的金融政策の中核をなすものである。貨幣量と物価の関係は貨幣数量説を用いて論じられることが多い。貨幣数量説の議論には、貨幣の流通速度が一定という前提がおかれるが、貨幣需要が強まり流通速度が低下すれば、貨幣量と物価の関係は弱まりうる。すなわち、貨幣量と物価の関係は貨幣需要の状況に依存する可能性が考えらえる。 本プロジェクトでは、まず貨幣量と物価の関係に関する既存研究について包括的なサーベイを実施した。そして、日米のデータを利用し、構造ベクトル自己回帰モデルを用いて、貨幣量、流通速度、物価の相互関係を分析した。期間を分けた検証を行い、金融危機/バブル崩壊の前後でどのような違いが得られるか検証を進めた。貨幣量と物価の関係について、金融危機前の期間については総じて明確な正の関係が検出された。一方、金融危機/バブル崩壊後の期間では、貨幣量の増加に伴って流通速度が持続的に低下しており、物価との関係が弱まっているとの結果が示された。これらの分析結果について現在取りまとめを進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って実証分析を実施し、分析結果の取りまとめを行っており、概ね順調に進捗している。研究成果は著書の分担執筆論文として公表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果をとりまとめて公表するとともに、予定している他のプロジェクトの分析へと進む。コロナ禍でこれまで十分に行うことができなかった学会等への対面参加の機会を増やし、意見交換の場を増やすことを計画している。
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Causes of Carryover |
旅費等が当初の見込みを下回ったため、次年度使用額が生じた。
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