2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of growth and decline conditions of international financial centers in the new era of communications using network analysis
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22K01569
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
取越 達哉 久留米大学, 経済学部, 教授 (90913624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田端 克至 愛知大学, 経済学部, 教授 (40277702)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 国際金融センター / ネットワーク分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
助事業期間の二年度。初年度に行った、関連文献の収集、分析の基礎となるデータの収集・加工、ソフトウェアの調査・収集及び選別に基づき、分析を本格化させた。具体的に行った作業は、①分析の前提となる世界経済に関する分析、②現実のデータを用いたネットワーク分析、である。 ①について。近年、世界経済は大きく変化しており、その理解なくしては、本研究の遂行は難しい。そのため、学術的な先行研究を踏まえつつ、その分析を行った。分析に際しては、金融市場において関心の高いテーマを設定した。具体的には、デジタル経済、気候変動、人口動態、金融資本の膨張、グローバリゼーション、世界経済の中心地の変化、の6つである。 ②について。ネットワーク分析で用いられる様々な指標を、現実の国際金融市場のデータを用いて計測した。具体的には、世界各国のクロスボーダー証券投資によって形成されるネットワークを対象に、ネットワークの構造、ネットワークにおける各国の特徴等について分析した。 ①及び②の作業の結果の一部として、2023年9月、書籍を出版することができた(「投資家のための『世界経済』概略マップ」)。また、②の作業の結果として、2023年9月、学会(証券経済学会)にて報告を行うことができた(「グローバル証券投資の中心性分析」)。また、同報告を発展させた論文の、学術誌への掲載が決定した(「証券経済学会年報」)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画は、「金融分野における『距離の近さ』の重要性が低下する中での『国際金融センターの成長と衰退の条件』について、近年急速に発達した分析手法であるネットワーク分析を用いて分析する」である。 当初計画はやや遅れている。その主たる原因として挙げられるのが、具体的なネットワーク分析の手法の選択において時間を要したこと、である。すなわち、ネットワーク分析には多様な手法が存在するものの、国際金融・国際金融センターに関する分析、国・機関・組織等の成長や衰退に関する分析が発展途上であることに加え、物理的な距離を考慮した分析手法が確立していないことから、本研究において、どのような手法を用いるべきかを検討する作業に時間を要した、ということである。 もっとも、初年度には、研究を遅らせる大きな要因の一つであった、「ソフトウェアによって、計算可能なネットワーク分析の尺度が異なる」というソフトウェアごとの違いに対する理解の不足に関しては、事態は大きく改善した。テクニカルな要因ではあるが、その点は、研究の進捗にとってプラス材料であったと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り、「金融分野における『距離の近さ』の重要性が低下する中での『国際金融センターの成長と衰退の条件』について、近年急速に発達した分析手法 であるネットワーク分析を用いて分析する」ことを目的とする。2024年内に、国内外の学会での発表、海外のジャーナルへの投稿を行う予定である。
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Causes of Carryover |
海外の学会での発表ができなかったため。翌年度以降、海外の学会での発表を行う計画としている。より研究を促進する具体的な対策として、共同研究者が本年9月から英国ロンドン大学にてネットワークと国際金融をテーマとする1年間の在外研究を行う。本テーマに関連したLondon大での専門家交流や欧州等での研究発表を行うことにしている。
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