2022 Fiscal Year Research-status Report
ヘッジできない消費リスクがある場合の資産価格モデルの研究
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22K01582
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
徳永 俊史 武蔵大学, 経済学部, 教授 (30329750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 賢治 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (30317325)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Long Run Riskモデル / Epstein-Zin型選好 / GMM |
Outline of Annual Research Achievements |
まずEpstein-Zin型選好モデルを推定する際の基礎となるLong Run Risk (LRR)モデルを日本の消費・配当データに当てはめるときの問題点について整理した。分析では(1)データ間隔と(2)消費データの定義のさまざまな組み合わせを使ってモデルから得られるモーメントの符号条件との整合性、GMMを使ったモデル適合性をチェックした。まず日本の配当データの特徴として3月決算企業が圧倒的に多く、すなわち3月と9月の配当支出が他の月に比べ圧倒的に多く、月次や四半期データに強い季節性が現れることから年次データを使うことが適切である。一方、消費データについては通常、非耐久消費財とサービス支出の合計を使用するのが一般的であるが日本のサービス支出を含めるとモデルの当てはまりが悪くなる傾向をみつけた。以上、日本のデータの特殊性も考慮したとしても、米国データを使いLRRモデルをベースとしたEpstein-Zin型選好モデルをGMMで推定したConstantinides and Ghosh (2011)の推定結果は非常に不安定であり、多角的な考察が必要であることを確認した。また、日本のデータの限界として、年次データを使用する場合、標本数が少ないという問題があるため、モデル全体の推定には工夫が必要であり現在は各パラメーターの感応度分析を行っているところである。なお、Epstein-Zin型選好モデルをGMM推定については、Constantinides and Ghosh (2011)と同様に統計パッケージRに組み込まれた関数“DEoptim”を使用している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最終的に推定したいモデルのベースとなるLong Run Riskモデルの日本データへの当てはまりが想像以上に悪く、その原因の追求と対応策の検討に時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行っている分析について、日本における先行研究は調べた限りでは見つからないため、もう少し分析を進めたところで論文にまとめる。その上で、本研究の最終目標である消費者の異質性を取り込んだモデル推定を行う。
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Causes of Carryover |
データ購入にかかる経費が見積りより少なかった。これについては次年度に研究に必要な書籍や消耗品を購入する費用の一部として使用する計画である。
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