2022 Fiscal Year Research-status Report
日本のマクロ経済の長期停滞とゼロ金利政策に関するDSGEモデルによる包括的な分析
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22K01585
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
蓮井 康平 愛知大学, 経済学部, 准教授 (90780619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 聡志 岡山商科大学, 経済学部, 講師 (70850642)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ゼロ金利 / デフレーション / 確率的定常状態 / 決定的定常状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、長期的なゼロ金利政策を、確率的な定常状態の決定的な定常状態からの乖離を描写することで解決することである。その分析の第1ステップとして、2022年度は、ゼロ金利制約を導入した標準的なマクロ経済モデルを理論的かつ数量的に分析を行い、研究会で研究報告を行った。ゼロ金利制約により、確率的な定常状態が決定的な定常状態から乖離することが示され、金利とインフレーションの定常状態が低下することが示された。さらに、資産価格についても金利がゼロ金利制約にヒットする前から影響することが数量的に判明した。また、こうしたゼロ金利制約による不確実性効果は、家計の習慣形成の度合いと政策スキームによって変化することが判明した。
また確率的な定常状態の影響だけでなく、決定的な定常状態の変化が景気に与える影響についても、シンプルなマクロ経済モデルを用いて分析を行った。特に、インフレーションの定常状態の値によって、政策の景気安定化への有効性がどのように変化するのかを分析した。分析の結果、インフレーションの定常状態が高いほど、裁量的な政策の度合いが強くなるにつれて、景気の変動が大きくなることが判明した。
以上の研究成果は以下の2点の意義を示していると考えている:(1)ゼロ金利制約の不確実性効果によって長期的なデフレーションを示すことができる可能性がある、(2)政策スキームによって、ゼロ金利制約の不確実性効果を通じたインフレーションへの長期的な影響が変化する、(3)確率的な定常状態の影響だけでなく、決定的な定常状態が景気に与える影響も考慮して政策運営を行う必要がある可能性がある。これらの研究成果について、学内外の研究会で研究報告を行い、多数のコメントを受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目である2022年度の目標はゼロ金利制約を組み込んだ理論モデルのシミュレーションと推計であったが、シミュレーション分析について研究成果が出てきており、学内外の研究会で研究報告を行うレベルに至ったため。これらの研究結果は、研究実績の概要でも述べたように、論文にすることが可能な分析結果が得られていると現段階で判断している。推計についても、少なくとも標準的なマクロ経済モデルの推計を行うことができるようになり、次年度以降、分析結果が出ると予想されるため。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目である2023年度の推進方策は、(1)2022年度の分析結果をまとめ論文にすること、(2)金融摩擦を組み込んだマクロ経済モデルの構築と、ゼロ金利制約を考慮した標準的なマクロ経済モデルを推計し、その分析結果を出す、ことである。(1)については、次年度以降に国際的な学術雑誌に投稿することを目標として論文を仕上げる。(2)については、ゼロ金利制約の不確実性効果が、少なくとも数量分析においてとらえることができるモデルのパラメータ値の推計を行うことが目標となる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は、計算機の購入金額が当初の予定よりも低くなったためである。また、謝金・人件費の支出が当初の予定よりも低くなったことも次年度使用額を生じさせた。次年度使用額の使用計画は、英語論文を執筆した際の英文校正に使用することを計画している。
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