2022 Fiscal Year Research-status Report
家計における「後悔」「安堵」の感情が保険購入に与える影響の経済学的考察
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22K01587
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
大倉 真人 同志社女子大学, 現代社会学部, 教授 (50346904)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 保険 / 後悔理論 / 経済分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度にあたる今年度における研究実績は、「後悔」の概念を用いた経済分析を展開することで地震保険加入にかかる研究を進めたことである。今年度において展開した研究の概要について述べれば、以下のとおりである。 日本における自然災害リスクマネジメントを考える際に無視できないものとして地震があげられ、また地震による家屋等の損害に対する対応手段として地震保険が存在する。しかしながら、家計における地震保険加入率は低調であり、それゆえに、地震保険加入率のさらなる引き上げを促す必要のある状況にある。この状況が地震保険に対する魅力の不十分性によって生じていると解釈したとき、その要因となりうる可能性のあることとして、地震保険制度における上限付保率の存在があげられる。 現行の地震保険制度においては、火災保険金額の30パーセントから50パーセントと5,000万円のいずれか小さい方の額を地震保険金額の上限としている。ゆえに、地震保険は常に一部保険とならざるを得ず、十分な補償を得るリスクマネジメント手法になっていない可能性がある。しかしながら他方において、上限の引き上げは地震保険料の高騰に直結する。そして地震保険料の高騰は、その高騰自体によるマイナスのみならず、地震が生じなかった場合における家計の後悔の程度を高めるというマイナスにもつながる。このように考えた場合、上限付保率の存在あるいは引き上げが地震保険加入率引き上げに有効か否かについては明らかではないことが分かる。 以上の背景を基礎に、後悔理論を用いた経済分析を展開した。なお、上限付保率についての先行研究は散見されるものの、経済モデルを用いた研究は皆無であり、この点から本研究には少なくない独自性があると評価することができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べた水準まで地震保険にかかる後悔理論を用いた経済分析を進めることができ、かつ当該モデル分析から一定の結論が得られていることから、「おおむね順調に進展」と評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」で述べた地震保険にかかる研究の刊行を行う。また、本研究課題に密接に関連すると考えられる「不確実性・情報の非対称性」を「後悔」と結びつけて検討すべく、不確実性・情報の非対称性が存在する市場において複数の主体が意思決定する状況を分析対象とした後悔理論を用いた経済分析を進めていくことを計画している。
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Causes of Carryover |
(理由)次年度使用額が生じた理由として、今年度(2022年度)に参加した国際学会(Asia-Pacific Risk and Insurance Association 2022 annual conference)が、新型コロナウイルス感染症の影響でオンライン開催かつ参加費無料となったことや、国内で開催された学会などに参加できなかったことなどがあげられる。
(使用計画)今後進めていく研究(「今後の研究の推進方策」において述べた研究)において生じることが予想される諸費用(資料収集に要する費用、学会報告に伴う旅費等、英語で論文執筆した場合におけるネイティブチェック代など)に充当することを計画している。
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