2023 Fiscal Year Research-status Report
US-China Trade War and UK-China Trade War: Clarification of the Mechanism and Impacts on US, China, UK, and Japan
Project/Area Number |
22K01589
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
万 軍民 福岡大学, 経済学部, 教授 (40423123)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 消費不足 / 過剰投資 / 過少投資 / 合理的バブル / バブル・プレミアム / マイナス金利 / 期限付土地制度 / 満期のある社債 |
Outline of Annual Research Achievements |
査読付単著論文2本を出版し、ワーキングペーパー単著1本と共著2本を作成した。 Wan, Junmin (2024a), "Transmission of housing bubbles among industrial sectors," International Review of Economics & Finance, 89(A), 692-701, 1月。この論文は一般均衡モデルと投入産出表を結合し、住宅バブルが住宅関連産業の過剰投資とそれ以外の産業の過少投資、及び、一般消費支出低下をもたらすのを理論的に明らかにし、2005-2020年の中国住宅価格と消費者物価(CPI)、及び、日本の1984年-1987年の土地価格とCPIが有意に負に相関していたこと、即ち資産バブルと消費不況の同時進行に対して理論的解釈を与えた。1980年代後半の日本国内需要不足の原因として定説であった円高不況説に、投機的資産売買そのものが需要不足を引き起こすという新たな視点を提示した。 Wan, Junmin (2024b), "Bubble Occurrence and Landing," Journal of Financial Stability, 70, 1-6, 2月。本論文は合理的バブルの発生に時間又は正の利子率が必要条件でないことを証明し、英国や中国の期限付土地制度(leasehold)や満期のある社債等にも合理的バブル発生を示した。確率的暴落を伴う合理的バブル発生の必要十分条件は、厳密にプラスのバブル・プレミアムと十分な数の投資家である。また、厳密なマイナス金利の下で合理的バブルが発生する必要十分条件はバブル・プレミアムがマイナス金利の絶対値より高いこと、かつ、十分の数の投資家が存在することである。最後に、合理的バブルの発生の予防とソフト・ランディングについての税制を提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一般均衡のフレームワークで投機的資産売買の弊害を確認できた。また、資産の投機的売買について、取引時間の無限性や正の利子率が無くても、合理的なバブルは発生する必要十分条件を特定化することができ、英国や中国の期限付土地制度(leasehold)においても合理的バブルが発生するメカニズムを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
清王朝誕生した1636年から滅亡した1911年までの276年間において、英国と清王朝間の二国貿易によって発生する収支不均衡、アヘン貿易、英国内の資産バブル発生と投資について、英国側の統計データを下記の通り7冊入手した。 Morse, Hosea Ballou (1926) The chronicles of the East India Company trading to China, 1635-1834, vol.1-5. 5冊 Greenberg, Michael (1951), British Trade and the Opening of China 1800-1842, Cambridge, England: Trinity College Press.1冊 Office of the Superintendent of Government Printing, Calcutta India (1903), Financial and Commercial Statistics of British India, Calcutta, India.1冊 英国側の統計データの解読、及び、清王朝側のデータとのマッチングを行い、276年間の時系列データ作成を試みる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由 英国と清王朝の1636-1911の二国間貿易データを収集したものの、アヘン貿易について、密輸という問題は深刻だったと判明した。税関経過のアヘン貿易データは実際の取引より過小だったと分かった。アヘン貿易量をいかに精確に測るかという至難の課題を克服できてい無かったため、研究計画書に計画した欧州経済学会等の海外学会で発表するような成果が得られなく、令和5年度では海外学会発表は無かった。 使用計画 令和6年度では、清王朝側のアヘン貿易データ、特に不定期な取締りによって見つけた密輸のアヘンの量を調べるため、北京大学に行って研究を行うのを計画している。そのため、北京での滞在費等に予算を配分する。また、清王朝側のデータと英国側のデータとのマッチングを行い、かつ、密輸データによる推計密輸量を加えることで、英清間におけるアヘンの媒介に運搬された国富の量(フローとストック)の時系列データ作成を試みる。これらの結果を学術論文にまとめ、大学セミナー発表や学会発表などを行うことを計画している。
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