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2022 Fiscal Year Research-status Report

スコットランド本国の貿易商・製造業者と東インド貿易ーJ・フィンリイ商会を事例に

Research Project

Project/Area Number 22K01620
Research InstitutionKansai University

Principal Investigator

熊谷 幸久  関西大学, 経済学部, 准教授 (20570253)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2026-03-31
Keywordsスコットランド / 東インド貿易 / イギリス帝国 / 中国 / インド / アヘン貿易
Outline of Annual Research Achievements

研究初年度となる2022年度は、本研究の目的である19世紀前半におけるスコットランドの国内産業とアジアとのつながりを明らかにするために、19世紀にグラスゴーを拠点として海外貿易や綿糸・綿織物製造に従事したジェームズ・フィンリイ商会および同商会を率いたカークマン・フィンリイの経歴に関する既往の文献の調査をおこなった。特に、1950年代に編纂された同商会の社史に掲載されているカークマン・フィンリイから在ボンベイのA・S・フィンリイに宛てられた書簡等を分析した。
これにより、1834年の中国貿易開放後のフィンリイ商会による東インド貿易の詳細の一部を明らかにすることができた。例えば、開放前に高い期待が寄せられていた中国貿易に関して、1834年の自由化以降、新規参入者間の競争のために、フィンリイ商会は利益の確保に苦労することになった。これとは対照的に、インド貿易は同時期までに同商会にとって最も重要な部門となっていた。ただし、東インド貿易商としての地位を確立していた同商会は、自社産の綿製品をアジアへ輸出することに必ずしもこだわった訳ではなく、好景気時には国内市場を優先し、国外市場向けにはランカシャーの市場で安価に購入した他社の綿製品を輸出した。逆に、不況時には、アジア向けに自社産綿製品の輸出を増やすことによって、同商会は工場の操業と雇用を維持することができた。このようにアジア市場は同商会の製造業部門のための安全弁としての役割を果たしていたと考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2022年度に予定していた研究活動の一つである過去の研究で収集したジェームズ・フィンリイ商会とカークマン・フィンリイに関する文献の調査・分析に関して、同商会の社史やグラスゴー東インド協会の議事録や書簡などの読解を順調に進めることが出来た。また、The British Newspaper Archive等のオンライン資料の調査に関しても、1830年代に掲載された同商会に関する新聞記事などを中心に広く調査を進めることが出来た。

Strategy for Future Research Activity

今後も史料が比較的多く残っている1830年代を中心にジェームズ・フィンリイ商会及びカークマン・フィンリイの活動に関する調査を継続する。特に、スコットランドを拠点とする東インド利害関係者が、当時のイギリスの通商政策に対してどの程度の影響力を行使することができたのかを評価するために、カークマン・フィンリイがチェアマンを務めていたグラスゴー東ンド協会が、中国貿易問題やアヘン戦争にどのように関与したのかについて明らかにする。加えて、同時期におけるフィンリイ商会以外のスコットランドの東インド利害関係者の動向についても調査を行う。
そのために2023年度と2024年度の現地調査の予定を入れ替え、ケンブリッジ大学のジャーディン・マセソン・アーカイブや北東ウェールズ公文書館等における、カークマン・フィンリイやグラスゴーの東インド利害関係者に関する史料の調査を先に実施する。

Causes of Carryover

研究費申請時に想定していなかった昨今の世界的なインフレーションの加速に加え、2022年2月に発生したロシアのウクライナ侵略により、エネルギー価格等が高騰したことで、2023年に予定しているイギリスでの現地調査にかかる渡航費や宿泊費などの高騰予想されることから、研究費を繰り越さざるをえなかった。
2023年度分として請求した助成金は、スコットランド経済史ならびにイギリス経済史・帝国史関係図書の購入や、イギリスでの現地調査のための渡航費、宿泊費、日当として使用する。また、繰り越した研究費は、現地調査のための渡航費や宿泊費の増加分に充てることにする。

URL: 

Published: 2023-12-25  

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