2023 Fiscal Year Research-status Report
インド洋におけるマダガスカルの奴隷貿易と奴隷制度の役割
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22K01623
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Research Institution | Ryutsu Keizai University |
Principal Investigator |
藍澤 光晴 流通経済大学, 経済学部, 教授 (50759975)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | インド洋 / 奴隷 / アフリカ / マダガスカル |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度においては、当初の研究計画通り、フランス海外領土資料館への資料収集を実行した。実行に当たっては研究協力者に依頼した。資料は19世紀を通して、マダガスカルからフランスに送られた領事報告書などが中心の一次資料である。 現在、収集した一次資料については分析中であるが、マダガスカルにおける奴隷の状況やコージャと思われるインド系移民のインド洋交易における活動についての報告書などを収集できた。なおマダガスカルの主要民族の一つであるイメリナ(Imerina)王国領内では、19世紀後半には、人口の約三分の一が奴隷で占められていたという。なお、マクア(Makoa)というキーワードに資料の収集と分析を実施していたが、マダガスカルにおいては奴隷身分を示すアンデヴ(andevo)という単語が一般的であることが判明した。その奴隷身分のなかで多数を占めるものがマクアであり、マダガスカル対岸のモザンビークから連れてこられた奴隷である。さらに資料が示すところによれば、奴隷貿易が禁止の方針がイギリスやフランスを中心とした西洋列強によって打ち出されるまでは、ヨーロッパやアメリカのニューイングランド商人らの手を通して、マダガスカルに運ばれてきた。西洋列強による奴隷貿易禁止の方針以降、マクアのマダガスカルへの奴隷は、イスラム商人やインド(グジャラート)商人の手でイギリス海軍の監視の目を逃れながら続けられた。奴隷はおもに貴族などの家内奴隷やクローブなどのプランテーションで使役された。 【参考文献】 ・深澤秀夫〈解題および解説〉『ルイ・カタ著「マダガスカル旅行記 1889年~1890年」1895年 所蔵画像解説』 ・藍澤光晴「インド洋西域における奴隷貿易の展開」関西大学『経済学論集』72巻特別号、2013年
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度はフランスでの資料収集は短期間であったが実行できた。しかしながら、新型コロナウイルス流行は落ち着くを見せ始めて、海外での資料収集やフィールドワークなどは可能となりつつあるが、完全に流行以前に戻ったわけではない。2023年に所属先の変更等も大きな理由の一つとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、新型コロナ感染症などの突発的な事態が起きない限り、マダガスカルでフィールドワークを実施する予定である。具体的にはマダガスカルのメンティラヌMantirano 地域を中心に実施する。メンティラヌには、アフリカ大陸からの奴隷の子孫といわれているマクアMakoa人の多くが居住している。そこで、マクアの家族に伝承または民族で共有されている物語について、「奴隷」をキーワードに聞き取り調査(オーラル・ヒストリー)を実施し、奴隷となった人びとから見たマダガスカルにおける奴隷制と奴隷貿易について把握する。そのうえで、フィールドワークで得たオーラル・ヒストリーを文章化し、資料や西洋人の報告書などからは把握できない奴隷制や奴隷貿易の実態を描写する。そのことで、マダガスカルを舞台とした奴隷貿易を、より複眼的に理解し、最終的に2022年度と2023年度で検証した結果やオーラル・ヒストリーで得られた情報から奴隷制を必要としていた権力を解明する。また具体的な奴隷貿易の担い手、実質的に奴隷制を必要としていた人びと、奴隷を使役して生産された砂糖やクローブのおもな消費者について考察する。
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Causes of Carryover |
マダガスカルへの調査費として次年度に繰り越した。
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Research Products
(1 results)