2022 Fiscal Year Research-status Report
ボード・ダイバーシティが企業の投資意思決定に与える影響の研究
Project/Area Number |
22K01630
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
松田 千恵子 東京都立大学, 経営学研究科, 教授 (80613140)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | コーポレートガバナンス / ボードダイバーシティ / 投資活動 / ESG / サステナビリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ボード・ダイバーシティの状況が投資活動の意思決定に与える影響を明らかにすることである。企業の取組が、社外取締役の招聘など「形ばかり」なのか、真に積極的であるかを考察する。 「形ばかり」仮説の検証のためには、比較的容易に外部から招聘できる社外取締役におけるダイバーシティの状況と、実力が伴わなければポジション獲得が難しい執行役員におけるダイバーシティの状況を比較検討する。前者は投資活動や業績に好影響を与えることはないが、後者は好影響を与えるのではないかというのが現時点の仮説である。 投資活動との関連性に焦点を当てるのは本研究の特色である。多様性の議論は企業における実際の活動と遊離しがちだが、取締役会での最重要意思決定事項のひとつである投資活動に与える影響は大きいと考えられるためである。本研究では、投資の実行だけではなく撤退や、投資機会がない場合の判断などにも範囲を広げて分析を行う。 現状、既に初期的研究をまとめた査読論文が公表されており、現在はその分析をさらに広げて論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は順調に進捗している。現状、既に初期的研究をまとめた査読論文が公表されており、現在はその分析をさらに広げて論文を執筆中である。また、初期的研究に関してはその結果について金融庁、経済産業省等の資料にも引用され、相応の社会還元を行い得たと考える。その他、招聘講演や勉強会などを通じて本研究の深化を図る取り組みも順調である。 加えて、やや広い範囲にはなるが、ボードダイバーシティを含めたESGやサステナブル経営の流れ、コーポレートガバナンスの状況などについては共著ではあるものの書籍を上梓することもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年は、初期的研究のスコープおよび対象企業数を増やし田データベースを現在作成中であり、それに基づいた論文の執筆に力を入れたい。また、コーポレートガバナンスとダイバーシティの関係に注目が集まっていることから、企業とのディスカッションや啓もう活動等にも力を入れていきたい。加えて、より広くESGやサステナブル経営の動向、投資家と企業との考え方の違いなども視野にいれつつ研究を進めることとしたい。
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Causes of Carryover |
本研究期間においてはデータベース作成や書籍の執筆等、デスクワークが中心であり多くの資金を必要としなかったこと、および急遽委託を受けた別のプロジェクトを進めなければならなくなった結果、費用のかかるインタビューその他が行えなかったため、次年度に持ち越しとなった。
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