2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K01631
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
木下 隆志 兵庫県立大学, 社会科学研究科, 教授 (10514606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筒井 孝子 兵庫県立大学, 社会科学研究科, 教授 (20300923)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 公的病院の役割 / 医療機能 / 費用構造 / 医療ニーズの変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は政策医療である病床を50%以上有する病院にセグメントし、その財務構造の比較を行うことにより、財務構造を基盤とした機能評価、ここでは①収益増加の取り組み、②機能集約や機能転換の取り組み、③人員配置の適正化、④材料費を含む費用の適正化等に焦点をあて実証的な検証を試みることである。 研究実施計画である2022年度は国立病院機構の政策医療に関する国内外の先行研究をレビューし、過去10年分の基本財務諸表の分析を行い、財務を基盤とした該当病院の特徴を整理・可視化することを目的とした。 その結果、病院における固定費は規模に関係なくある一定量発生することから、小規模病院の経営としては、一定の固定費の比重が高くなり経営を圧迫する要因となっていた。また、このような費用構造を解消する取り組みとして、医薬品・医療材料について、地域連携による共同購入による節減方法も検討されている(地域医療連携推進法人)。しかし地域医療連携の指標である紹介率では7:1病院66.3%、10:1病院47.8%(H22厚生労働省経営指標資料6-1より)であり、一定の紹介率はあるものの、病院機能ごとの差は18ポイント低いことから、300床以下の10:1病院では自院完結型の集客構造が固定費を引き上げていることも考えられた。地域における医療ニーズの状況の変化、地域に有する医療資源・介護資源の差異を把握し、役割強化や病院機能に見合った組織再編、各地域における医療資源の適正配置の検討が求められることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目的である、国立病院機構の政策医療に関する国内外の先行研究レビューを実施し、過去10年分の基本財務諸表の分析を行った。その結果、財務を基盤とした該当病院の特徴を整理・可視化することができた。国立病院機構の収益構造を可視化したことにより、一般的な財務分析において病院の規模や政策医療を展開する病院ごとの特徴を集約することができた。また、これまでの研究により、非財務項目である病院機能等との要因を分析し、公的病院の固有の機能を実証分析できると考えている。その基礎的な資料を収集できたため、初年度の目的はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は公立病院の過去10年分の基本財務諸表の分析を進め、該当病院のBSC項目とKPI実施達成率を結合させたデータベースを構築する。 特に重症心身障害児者病棟を対象とする病院の財務構造を可視化できるような、比較対象データベースの作成に注力する。重症心身障害児者病棟は公的機関と民間病院の双方が担っており、国立病院機構で担うシェアは34%である。公的病院の固有の機能を実証するために、あえて公的機関と民間の病院がそれぞれで担う機能に特化し、その財務状況を比較することで、公的病院の固有の機能について検討する。
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Causes of Carryover |
予定していた国立病院機構の訪問が新型感染症の影響により延期せざるをえなかったため。
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