2022 Fiscal Year Research-status Report
Philosophy-based management underlying sustainable growth: toward identity work management theory and its verification
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22K01635
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
王 英燕 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (10456759)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 理念型経営 / 創業者精神 / SELサイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
日本企業の多くは理念型経営を実践することで発展してきた。しかし未だその実態についての議論は十分とは言えない。実務や個人の視点からの理念浸透の研究は数多く行われているが、組織体における理念型経営の本質に言及した研究はまだ多くない。今年度の研究はミクロレベルの質問紙調査とマクロレベルの実践の実態の二つの視点から理念型経営を実践する企業がどのようにアイデンティティ・ワークを行っているのかを分析した。 質問紙調査では、会社のCSR経営に対する認知と個人の社会志向性がどのように従業員のワーク・エンゲージメントを高めるかというメカニズムについて検討を行った。実証研究の結果、CSRへの認知と個人の社会志向性が企業評判を通じてワーク・エンゲージメントに寄与することが示唆された。その結果、他者信頼感が低いほど、ワーク・エンゲージメントがより顕著に低下する傾向が示されており、企業評判とワーク・エンゲージメントの関係が他者信頼感によって調整されることも明らかになった。 一方、マクロレベルの考察では、事例研究を行った上で、理念型経営の測定項目の開発に取り組んでいる。2社の事例を通じて理念型経営の源泉としての創業者精神とは何かを議論した。両社が共通するのは、創業初期に従業員とのトラブルを経て経営者の関係志向性が強まり、理念型経営の原型が出来上がってきた点である。その後、自社だけではなく、社会一般に及ぼす波及効果を考慮する社会志向性が強くなり、理念型経営が本格的に浸透するプロセスに至っている。以上の考察を踏まえ、実践をモデル化した表明(statement)・体現(embodiment)・学習(learning)という SEL サイクル構造を提案し、定量調査のための測定項目を開発した。本研究を通じて、源泉と構造の分析及び測定指標の開発を行うと同時に、学術的な理念型経営の本質に近づけるための検証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は4年間の研究の初年度であり、主に理論的検討及びパイロット研究を行う計画した。理論的枠組みについては、初年度に理念型経営の実態を踏まえて、実践をモデル化した表明(statement)・体現(embodiment)・学習(learning)という SEL サイクル構造を提案することができたことで、2年目以降の大規模な実証研究を行うための基礎が整ったと考えている。更に、初年度研究の中には、予定通りパイロット研究として事例研究を行い、アイデンティティ・ワーク理論を展開するための研究材料を準備することもできた。更に、理念型経営の一部であるCSR経営に関連する質問紙調査の実施も進んでおり、この結果を展開することでモデルと理論の精緻化を図ることが可能と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の3年間は、特に理念型経営とアイデンティティ・ワーク戦略の展開について、系統的な理論を構築し、実証研究を行う予定である。国内では、日本経営学会または組織学会等、全国レベルの学会誌での論文掲載を計画している。特に、理念型経営にアイデンティティ・ワークという新たなアプローチを導入することで、従来強調されてきた個人での浸透ではなく、組織体としてのアイデンティティに焦点を当てたアイデンティティ・ワーク戦略の展開に注力する。またAcademy of Management学会でも発表を予定している。注目度が落ちてきた日本発の経営慣行について、知られざる魅力をさらに掘り下げて世界に向けて発信したい。
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