2022 Fiscal Year Research-status Report
多国籍企業の海外での研究開発に国内での企業間ネットワークが与える影響の分析
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22K01643
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
金綱 基志 南山大学, 総合政策学部, 教授 (50298064)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 研究開発 / R&Dネットワーク / 埋め込み / LoO / トヨタ自動車 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、国内でのネットワークの埋め込みレベルが高いケースで、LoO (liability of outsidership)の克服と進出先国におけるインサイダーシップの獲得が可能になるかどうかという点を、研究開発ステージにおける国内R&D拠点の対外的ネットワークの拡大と海外R&D拠点の対外的ネットワークの拡大を見ることで検証していく。2022年度は、トヨタ自動車を対象に科学技術論文誌のデータベースであるINSPECで入手したデータを基に分析を行った。利用したデータは、1998年、2003年、2008年、2013年、2018年、2021年のデータである。本研究では、トヨタ自動車の国内R&D拠点における研究の共著者の拡がりが国内のR&D拠点内にとどまらず海外の研究者にも拡大しているのかどうか、また、トヨタ自動車の海外R&D拠点における研究の共著者の拡がりが国境を超えて行われているのかどうかを時系列的に確認した。また、本研究では、林・中山・菰田(2021)を参考に、集中性と分散性という指標を用いて分析を行った。ここでのデータの分析の結果、トヨタの国内R&D拠点を中心とするネットワークは、トヨタの国内R&D拠点内から、国内の組織間、海外の組織間に拡がりつつも、全共同研究数から見た割合は低下していること、また、トヨタの研究開発ネットワークにおける海外R&D拠点が、海外R&D拠点の立地する国を超えた研究所等との研究にそのネットワークを拡げながら、トヨタの研究開発体制全体におけるその位置を向上させてきていることが明らかとなった。国内で高いレベルの研究開発ネットワークを形成してきたトヨタ自動車のケースで上記の結果が得られたことは、国内でのネットワークの埋め込みレベルが高いケースでも、LoOの克服と進出先国でのインサイダーシップの獲得が可能であることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年年度は、国内での研究開発ネットワークが海外での研究開発ネットワークに与える影響について、予定していたトヨタ自動車のケースの分析を行うことができた。また、それ以外の分析対象としているゼネラルモーターズ、現代自動車、ソニー、サムスン電子、TSMC におけるINSPECのデータの入手も行うことができている。こうした点から、研究はおおむね順調に推移していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、これまで行ったトヨタ自動車の分析方法を用いて、海外の多国籍企業を対象に分析を行っていく。分析対象とするのは、ゼネラルモーターズ、現代自動車、ソニー、サムスン電子、TSMCである。すでに入手しているこれらの多国籍企業のINSPECのデータを利用して、トヨタ自動車においてみられた国内での研究開発ネットワークと海外の研究開発ネットワークとの関連が、海外の自動車メーカー、及び国内外の電機電子産業においてもみられるかどうかを検証していく。2024年度は、研究対象とする企業をさらに拡大して、同様の傾向がどの程度一般化できるのかどうかを確認していく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウィルスの感染拡大の影響のため、国内外での研究出張が困難であったことが理由である。今後は、こうした研究出張も可能になると考えられるため、研究出張に用する経費として利用するのと同時に、さらに多くのデータを入手するための経費として利用する予定である。
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Research Products
(1 results)