2022 Fiscal Year Research-status Report
日本のものづくりが高度情報時代の技術開発競争の進展下において生き残るための戦略
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22K01737
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
赤岡 広周 京都産業大学, 経営学部, 准教授 (70571074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤岡 功 星城大学, その他, 研究員 (10025190)
李 在鎬 広島市立大学, 国際学部, 教授 (40342133)
中岡 伊織 星城大学, 経営学部, 准教授 (50469186)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 特許分析 / 品質 |
Outline of Annual Research Achievements |
次世代自動車への移行期を迎え、日本の自動車産業の先行きを悲観視する向きも多い。しかし経営学とあわせ、安全管理を研究してきた筆者は疑問を感じている。 次世代自動車は高度システムであるから、その動作のためには最先端の技術開発は欠かせない。これは一般に、脚光を浴びる最先端領域である。いっぽうで、最先端技術による高度システムであれ、枯れたシステムであれ、システムの安定動作のためにはユニットなどを構成する1つ1つの部品の品質・信頼性、あるいは保守体制といった、一般的な品質管理・保守も重要となる。これは自動運転をはじめとする最先端領域に固有のものではない。枯れたシステムの安定動作にも共通して必要となるポイントである。そしてこれは、日本企業の得意分野のはずである。本年度の研究では、上記のうち1つ1つの構成部品の品質・信頼性に着目した。 本年度は、上記の構成部品の品質・信頼性について技術分析を行うべく、公開された特許情報データベースを基に、特許分析用データベース作成を行ってきた。また適宜、作成途中の特許分析用データベースを用いて試行的な分析を行っている。試行的な分析を通じて抽出された問題点は、データベースの妥当性向上のための修正に反映させ、妥当性の高い特許分析用データベース構築を目指している。 本課題では、日本自動車産業が国際競争力を発揮できるこれらの「強み」を、「次世代自動車保全技術」と定義している。日本の次世代自動車保全技術の国際的優位性を特許分析により明らかにする。自動運転システムは、自動車分野にとどまらず、さらに広範な産業範囲へと適用される可能性を含むため、一般化の余地も期待できる。 本年度はこのように今後の研究遂行のための特許分析用データベースの構築作業を行う一方、ここまでの成果を反映させた各種学会報告、および論文や著書等の執筆上梓を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前研究課題から引き続き、本研究課題でも技術分析の手法として特許分析を用いている。そのため、本年度は、J-Platpatなどの特許情報データベースを基に、妥当性の高い特許分析用データベース作成を行ってきた。作成に当たっては、自動運転ユニットも、他領域のユニットと構成部品に共通性がある点に着目している。そこで、第1に、これまでの特許分析用データベース作成作業では、自動運転ユニットにも、他領域のユニットにも共通して使用される一般的な構成部品をピックアップしている。第2に、それら電子部品の信頼性向上を企図すると思われる文言をキーワードとして特許文書からピックアップする作業を行っている。これらの作業を行ううえでは、適宜、作成途中の特許分析用データベースを用いて試行的な分析を行っている。試行的な分析を通じて抽出された問題点は、データベースの妥当性向上のための修正に反映させ、妥当性の高い特許分析用データベース構築を目指している。このように現在、今後のデータベース分析のための準備作業および試行が進行中である。また、これまでに得られた知見については各種学会報告、および論文等による公開も並行して行っている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今年度に構築した特許データベースを用いてユニット構成部品の品質・信頼性にかかるテキスト分析と、重要特許の抽出を行う。重要特許の抽出にあたっては、HITSアルゴリズムを用いることを予定している。HITSアルゴリズムは、特許の引用関係・被引用関係に着目するものである。HITSアルゴリズムによる分析の結果引用度が高い特許は、重要度の高い技術であることが示される。特許データベースを用いた分析では、第1に、企業別特許出願件数および年別特許出願件数についてランキングを試みる。ランキング上位勢は、重要技術を多く保有する者であることが示される。第2に、HITSアルゴリズムを用いた分析により、特許の引用度ランキングを年別に作成する。引用度の高い特許を保有する社は、強く引用されるほどの重要技術を有している社であることが示される。また、引用度ランキングについては年別推移についても集計する。ランキングの年別推移により、重要技術を保有する社の入れ替わりを知ることができる。第3に、再度HITSアルゴリズムにより特許ごとの引用関係・被引用関係を明確化することで、当該分野における中核的地位にある重要技術について抽出を行う。以上の分析により、ユニット構成部品の品質・信頼性にかかる技術的優位の状況を明らかとする。
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Causes of Carryover |
届け出のとおり、研究分担者が1名減となり研究体制に変更が生じたこと、および、学会等への参加のための経費がリモート参加のため大幅に削減されたことが理由である。 また、使用計画に関しては、本研究ではテキスト分析を行うために特許データ等のデータベースを構築するが、そのためにデータベースサービスを利用する。次に、大量のデータ処理が可能なPCサーバの導入を計画している。また、技術経営および安全管理分野に関する文献および資料の購入による文献調査を予定している。
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