2022 Fiscal Year Research-status Report
A Study of Organizational Citizenship Behavior Considering Situational Factors in the New Normal Era
Project/Area Number |
22K01741
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
奥井 秀樹 久留米大学, 商学部, 教授 (30411713)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 組織市民行動 / 状況要因 / 生起メカニズム / 利他的行動理論 / 否定的側面 / ニューノーマル時代 / ポストコロナ社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
組織に対する成員の自発的な貢献行動である組織市民行動は、組織の生産性を左右する重要な概念であり、近年、研究がなされる機会が増えてきている。 本研究は、状況要因に着目した分析視角から、ポストコロナ社会のニューノーマル時代において生じる状況の変化とそれが組織市民行動の生起メカニズムに及ぼす影響について考察し、これからの組織市民行動研究の在り方を提示することを試みるものである。 本研究では、研究期間内において、第1に、ポストコロナ社会のニューノーマル時代の働き方とはどのようなものかというテーマに関連する資料を幅広く収集して整理・分析すること、第2に、状況要因に着目した分析視角から、理論的検討を通じて、新しい働き方の普及によってどのような状況の変化が生じて、それが成員の組織市民行動にどのような影響を及ぼすと考えられるのかを明らかにすること、第3に、既存の組織市民行動研究の意義・限界を整理したうえで、ニューノーマル時代の組織市民行動研究がクリアーしなくてはならない課題を明確化して、研究の発展の方向性を提示すること、の3点に取り組む。 4年間の研究期間の1年目である当該年度においては、まず、ポストコロナ社会のニューノーマル時代の働き方に関連する基礎的な資料の収集・整理を行った。次に、研究代表者が独自に考案した利他的行動理論を組織市民行動研究に応用することによって、状況要因が成員の組織市民行動に及ぼす影響について分析・考察するための理論的枠組みを構築した。そして、利他的行動理論を応用した状況要因と組織市民行動の関係についての研究の手始めとして、組織が満足できる環境を与えてくれたことに対する返礼等の組織と成員との間の社会的交換として行われるタイプの組織市民行動が持つ否定的側面について考察した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で取り組む課題は、第1に、ポストコロナ社会のニューノーマル時代の働き方とはどのようなものかというテーマに関連する資料を幅広く収集して整理・分析すること、第2に、状況要因に着目した分析視角から、理論的検討を通じて、新しい働き方の普及によってどのような状況の変化が生じて、それが成員の組織市民行動にどのような影響を及ぼすと考えられるのかを明らかにすること、第3に、既存の組織市民行動研究の意義・限界を整理したうえで、ニューノーマル時代の組織市民行動研究がクリアーしなくてはならない課題を明確化して、研究の発展の方向性を提示すること、の3点である。 4年間の研究期間の1年目である当該年度においては、これらの3つの課題のうち、第1と第2の課題に関連するものを中心に研究活動を行った。 まず、第1の課題に関連するものとして、ポストコロナ社会のニューノーマル時代の働き方に関連する基礎的な資料の収集・整理を行った。 次に、第2の課題に関連するものとして、2本の論文を執筆して、状況要因と組織市民行動の関係についての研究を展開していくための理論的枠組みを整備した。1本目の論文である「組織市民行動と利他的行動の関係についての一考察―その共通点と相違点とは―」では、研究代表者が独自に考案した利他的行動理論が組織市民行動研究に応用可能であることを示した。2本目の論文である「社会的交換型の組織市民行動とその否定的側面―利他的行動理論を応用した一考察―」では、利他的行動理論を応用して組織市民行動の否定的側面について考察を行い、どのような状況でどのようなタイプの問題が生じる可能性があるのかを明らかにした。 これらの成果は、今後、3つの課題についての研究を進めていくうえでの基礎となるものであることから、現在までの進捗状況は「おおむね順調に進展している。」と評価できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画に特に大きな変更はなく、2年目以降も当初の研究計画通りに研究を進めていく予定である。 2年目以降は、本研究で取り組む第1の課題に関連するものとして、ポストコロナ社会のニューノーマル時代の働き方とはどのようなものかというテーマに関連する資料を幅広く収集する活動を継続するとともに、資料を体系的に整理して分析することに注力する。それによって、ニューノーマル時代の働き方は、これまでとはどのように異なるのか、そこではどのような状況の変化が生じているのかを明らかにする。そして、それと並行して、第2の課題に関連するものとして、さまざまな状況における組織市民行動の生起メカニズムについて研究を進める。 当面はこのような方針で研究を進めて、ある程度の成果が蓄積された段階で、第3の課題に取り組むという流れで研究を進める予定である。 研究環境面にも特に大きな変化はない。現勤務先の個人研究室、図書館での文献複写・取り寄せ・学術論文データベース等のサービス、そして、コピー機・プリンター等の事務機器を利用することができる。研究資料については、これまで組織市民行動に関する研究を行ってきたことによって必要最低限の資料は揃っている。過去に数度実施した組織市民行動に関する質問票調査のデータも分析に使用しやすい形に整理して保有している。 また、現勤務先からは、研究時間確保のために土曜日を含めて週に3日の研究日を与えられており、個人研究費として1年につき48万円の給付を受けている。エフォートが30%では足りずに研究が予定通りに進まない場合には、40%程度まで引き上げることが可能である。
|
Causes of Carryover |
統計解析ソフトを購入した後に、ニューノーマル時代の働き方・組織市民行動関係の図書を購入するという順序で予算を執行したが、最終的に、760円の次年度使用額が生じた。必要かつ760円以下で購入可能な物品がなかったため、次年度使用額として残すこととした。 次年度使用額は翌年度分の予算と合わせて、主にニューノーマル時代の働き方・組織市民行動関係の図書等の物品の購入に使用する予定である。
|