2022 Fiscal Year Research-status Report
感動経験が購買意思決定に与える影響および残存効果としての価値観創造に関 する検討
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22K01779
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
三井 雄一 西南学院大学, 商学部, 准教授 (00782145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 樹里 (加藤樹里) 金沢工業大学, 情報フロンティア学部, 講師 (10805401)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 感動 / 価値観 / マーケティング / 感情心理学 / 広告 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度では研究実施計画に基づき、4月より先行研究のレビューを開始し、諸外国と日本における感動概念の差異や、感情研究を中心とした感動概念と類似した概念に関する研究について整理を行い、大まかなレビューを完了している。研究会では、毎月進捗を確認しながら議論を重ね、周辺分野の研究会(例えば京都大学のAwe研究会等)にも参加し意見を伺うことで精査を重ねている。 実施計画段階では、消費行動における感動の影響についてもレビューを行う予定であったが、国内外の研究には該当する内容の研究はみられなかった。また、類似概念の範囲がかなり広範であったことからレビューの対象となる先行研究が膨大になり、計画よりも多くの時間を割く必要があった。 本来は2022年度後半から実験計画を練る段階に入るはずであったが、概念の整理や定義が非常にあいまいなことが明らかになるにつれ、先行研究のレビューを精緻に行うことの重要性が明確になり、2022年度を当該レビュー論文の作成に費やす結果となった。しかし、国内外の感動に関する先行研究を整理し、加えて類似概念との差異にまで言及している研究は現状ほぼ無い状態であることからも当該研究には学術的意義があるものと考えており、おおよそのレビューを完了したことは本調査において大きな進捗であると認識している。 現在(2023年4月~5月)、当該論文の校正段階に入っており、論文の内容の学会発表、投稿を2023年度内に予定している。その後、改めて実験計画の設計を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
進捗の遅れが生じた主な理由は以下の2点である。 1点目は、当初計画していたよりもレビューの対象とする範囲をかなり拡大し、その作業量が倍増したことである。国や地域によって概念定義が異なることや、そもそも感動という概念を持たない文化圏も存在することから、類似概念の整理や差異の明確化は非常に困難であり、またその対象も広範にわたったが、時間をかけてレビューを行った結果、従来、あいまいにされてきた概念の整理を精緻に行うことができたと考えている。 2点目は、研究代表者および分担者の当人および家族に体調不良等研究を進められない状況に相次いで陥ったことがあげられる。この点においては予期しえなかった要因であるが、今後の研究において当初計画通りに進められるよう尽力したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本調査の研究実施計画において研究課題として挙げていた、課題①:感動の消費行動への影響、および課題②:感動の残存効果(価値観創造)について、2022年度に予定していたレビューはやや遅れがあるもののほぼ完了している。一方で、調査(質問紙調査、実験調査)の計画や実施については2022年度内に行うことができなかったため、2023年度から行うものとする。また2022年度に予定していた学会発表については2023年度に開催されるマーケティング学会にて行う予定であり、当研究内容は同学会への投稿を予定している。調査内容については当初予定通り、課題①は質問紙を用いた定量的調査、課題②については生理的指標の測定と質問紙調査による実験調査を実施する。 加えて2023年度には国際学会での発表を予定していたが、調査の実施が遅れていることから、2023年度に応募、2024年度での発表とする予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては主に2つがあげられる。 1つには、コロナ禍における懸念及び研究代表者、分担者それぞれが家庭の事情や当人の体調不良による対面での研究会実施が困難であったため、旅費の使用が当初予定より少なくなったことである。 もう1つには、2022年度はレビューに多くの時間を割いたため、調査まで研究が至らず結果として人件費や謝金を支出する機会がなかったことがあげられる。 上記2点により残余した金額が、おおむね次年度使用額として繰り越されている。
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