2023 Fiscal Year Research-status Report
Management Control Systems to promote gender equality in Japanese companies
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22K01795
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
長野 史麻 明治大学, 経営学部, 専任教授 (40386511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細田 雅洋 立教大学, 経営学部, 准教授 (50733888)
渡部 あさみ 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (10723033)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | マネジメント・コントロール・システム / ジェンダー平等 / 診断的コントロール・システム / インターラクティブ・コントロール・システム / 戦略 / 構成 |
Outline of Annual Research Achievements |
「日本企業がジェンダーギャップを解消するさいに、マネジメント・コントロール・システム(MCSs)はいかなる役割を果たすのか」という問いに対し、2023年度は女性活躍推進の先進企業として、なでしこ銘柄に複数回選ばれた企業7社を対象として、半構造化インタビューによる調査を行った。インタビュー調査から、企業の戦略にジェンダー平等への取り組みがどのように統合されるか、そのプロセスを明らかにすることができた。この調査結果については、2023年11月30日にオーストラリアで開催された学会(ABEN)で報告するとともに、国際ジャーナルに投稿した。 ジェンダー平等の実現と企業の戦略との統合について、MCSsの活用状況にもとづいて類型化されるMCSsの構成とMCSsの活用に影響を及ぼす要因の観点から考察した。7社のケース・スタディを通じて、なでしこ銘柄に採用された経験がある企業においては、ジェンダー平等の実現は戦略に統合されている状態にあることが明らかになった。 MCSsの活用状況によって類型化されるMCSsの構成とMCSsの活用状況に影響を及ぼす要因を理論的枠組みとして用いて、ジェンダー平等の実現が戦略に統合されていく過程を示したことはジェンダー会計におけるMCSsの研究の進展に貢献する。 また、女性活躍推進に先進的な取組をしている日本企業のMCSsの構成の変化について、比較分析することを通じて、ジェンダー平等の実現と戦略との統合度合いに応じたMCSsの構成を示すことができた。これにより、企業は現時点でおかれている状況にもとづいてMCSsをどのように活用していけば良いかを再考し、どのようにMCSsを構成していくべきか検討することにつながる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、以下の2点を明らかにすること目的としている。 ①職場における女性活躍推進を促進するために、どのようなMCSが用いられているのか。 ②質的研究で明らかになったMCSは、実際に女性の活躍推進を促すのか。 研究期間前半の2022年度と2023年度において、日本企業の女性活躍推進に向けた取り組みにおけるMCSの活用に関する理論仮説を導出することを目的としている。2022年度の予備的調査にもとづき、2023年度は調査対象企業の女性活躍推進に向けた取り組みの調査、半構造化インタビューを行い、データの収集・分析を行った。そして、海外学会(13th Annual Australasian Business Ethics Network (ABEN))で報告し、国際ジャーナルに投稿した。 インタビュー調査の対象は、なでしこ銘柄に複数回選出された日本企業7社である。これらの企業は、CSRや女性の活躍推進、長時間労働の是正などに積極的に取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の後半にあたる2024年度と2025年度では、前半の2022年度と2023年度の質的研究によって明らかになった理論仮説をわが国の一部上場企業を対象とした質問票調査により検証する。 2024年度に質問票を設計し、配付・回収・分析を行う予定である。2025年度には量的研究の成果を海外学会で報告し、海外ジャーナルへの投稿を目指す。
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Causes of Carryover |
2023年度の国際学会報告の渡航費を所属大学の助成金の申請で大部分を賄えたこと、また海外ジャーナルへの投稿にあたり支出した英文校正費用も所属大学の助成金の申請で賄えた。次年度は質問票調査を行う予定であり、調査費用が多額となる予定である。次年度使用額をその調査費用に充てる予定である。
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