2023 Fiscal Year Research-status Report
相対的業績評価を中軸とした地方公営企業の情報開示と情報利用に関する研究
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22K01812
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
関谷 浩行 北海学園大学, 経営学部, 教授 (50734505)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 管理会計 / マネジメント・コントロール / 相対的業績評価 / 地方公営企業 / 情報開示と情報利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は水道事業,下水道事業,病院事業などの地方公営企業で実践されている相対的業績評価(経営比較分析表)の情報開示・情報利用に関する実態を,インタビューと現地調査によるフィールドワークから明らかにすることにある。 文献研究では,自治体史の資料収集を継続して行った。地方公営企業に関する貴重な文献は,地元の図書館にのみ所蔵されていることもある。今年度は北海道内の自治体史に関する資料に加えて,その他の地方(例:愛媛県松山市立図書館)の自治体史の資料を現地の図書館にて閲覧・収集することができた。自治体史の研究を通じて,地方公営企業が経営情報を地域住民に対して積極的に公表してアカウンタビリティを果たしていこうとする自治体と,消極的な自治体が存在することを確認することができた。 文献研究に加えて,今年度は相対的業績評価に関する予備調査(質問表調査)を行った。相対的業績評価とは,組織内の他の部署または業界内の他の企業あるいは前期実績と比較して, 事後的にその優劣を評価する方法である。地方公営企業では,複数の経営指標を用いて経営の健全性・効率性,老朽化の状況について,類似施設と比較することができる「経営比較分析表」が相対的業績評価のツールの一つであるといえよう。今年度は,北海道の水道事業,下水道事業を対象として,経営比較分析表を公表している組織体を対象にした郵送による質問表調査を実施した。現在,回収した質問表の分析を行っている。 加えて,今年度は自治体の業務改善,DX(デジタル・トランスフォーメーション)を支援する民間会社とコラボレーションさせていただく機会を得た。研究を推進するための共創(協働しながら新たな価値を創造する)の基盤を構築することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書どおりに進捗しているため,「(2)おおむね順調に進展している」という評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は実施した予備調査の質問表の項目を推敲する。その上で,調査対象を病院事業にも拡大した本調査(質問表調査)を実施する。また,質問表に回答くださった組織体のうち,取材に協力してくださると回答いただいたところへの往訪調査もあわせて行う予定である。
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Causes of Carryover |
私が所属している学会の一つから全国大会の開催校(役割は学術総会長)を拝命することになり,当初8月・9月の夏季休業中に予定していた往訪調査を実施できなかったことが理由である。次年度は積極的に往訪調査を行うことに加えて,質問表調査の対象を拡大する予定である。
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