2022 Fiscal Year Research-status Report
顧客価値を考慮した併用方式による企業価値評価の研究
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22K01820
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
平井 裕久 神奈川大学, 工学部, 教授 (40399019)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 企業価値評価 / 併用方式 / 顧客価値 |
Outline of Annual Research Achievements |
ステーク・ホルダーや企業は,企業再編などあらゆる場面において,より複雑な環境下での企業価値評価を必要としてる。企業価値評価の手法に関して,実務においては,DCF法とともにマルチプル法などの複数の方法を同時に用いる併用方式が利用されることも多い。そこで,複数の価値要素を加重平均して価値評価を行っている併用方式について確認を行い,評価方法の特性に鑑みて検討を行う。 本研究では,これまでの併用方式に関する実証分析での結果を踏まえ,モデルの正確性を高めるための情報として,追加的に顧客価値についても検討する。この際,テキスト・マイニングの利用によって定性データについても勘案する。企業価値に影響を与える要因には様々なものが考えられるが,企業が収益を維持,成長させていく上で,収益をもたらす顧客は重要となる。Blattberg and Deighton(1996)では,ステーク・ホルダーは,現在および将来の顧客との関係が企業の貴重な資産であり,最も価値があるとは言えないまでも,その認識を強めているとしている。その結果,Braun, Schweidel, and Stein(2015)では,顧客獲得,顧客維持,および顧客生涯価値(CLV)について議論され,特にCLVを正確に推定することで,外部のステーク・ホルダーは,すべての既存顧客の残りの生涯価値に,まだ獲得されていないすべての顧客のCLVの正味現在価値を加えたものを推定することができるとしている。この顧客価値についても,併用方式における価値評価に活用できると考えられる。そこで顧客価値の理論的な整理をおこなっている。 ステーク・ホルダーそして企業自身も,企業価値を正確に判断する必要に迫られている。理論的な根拠を基にして,実務場面で有用性の高いモデルが必要とされるため,併用方式による企業価値評価モデルの発展は大変有益であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論的背景を整理し、実証研究を行うためのデータの検討に移っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究において,充実したデータベースの作成が重要であるため,実証において必要となる財務および株価データそして、特に顧客価値算定に必要なデータを整理することでデータセットを充実させる。そして様々な統計的処理を施すために,データの確認・集計・加工を引き続き行う。 データ収集とは別に,McCarthy and Fader(2018)とYee(2008)モデルに準ずる日本での実証研究について確認をおこなう。
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Causes of Carryover |
データの購入予定が滞ったことと、予定していた学会への参加ができなかったことによる。
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