2023 Fiscal Year Research-status Report
Behavioral Research of Human Capital Information Usefulness: Perceptions and Judgements in some Japanese financial firms
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22K01822
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
古賀 智敏 神戸大学, 経営学研究科, 名誉教授 (70153509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
姚 俊 明治大学, 商学部, 専任教授 (00610932)
付 馨 京都先端科学大学, 経済経営学部, 教授 (80551051)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 人的資本 / 人的資源の認識・評価 / 人的資本情報開示 / 専門投資者 / 非財務情報 / 人的資源の戦略的開示 / 情報の有用性 / 行動科学的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「人的資本」という視点から、いかに企業の人的資源の有効利用とその認識・評価のための情報開示が専門投資者の投資判断にどのように資するか、その有用性を実証的に分析するとともに、どのような人的資本情報が、どのように開示されるべきか、新たな開示制度の構築に向けて制度的及び実証的に調査・研究しようとするものである。 その第一歩として、初年度(2022年)には、まず「組織資産」としての人的資本とは何か、それを企業の価値創造のメカニズムの中で、いかに把握し、位置づけるべきかを内外の関連文献に基づき、文献レビューを行った。人的資本を含む広く無形価値先行文献研究から始めなければならない。それが第1年度の研究課題である。 本研究では、とくに人的資本評価について、マルチ領域的・マルチ階層的レビューを行った。Fulmer & Ployhart(2014)論文、人的資源研究の最初の10年間の研究レビューを行ったRay et.al.(2023)、従来の個別レベルアプローチに対して統合的・ホリステック枠組みから人的資本資源の概念化を提唱するployhart et.al.(2014)、及び非財務情報としてのインタンジブルズ情報の価値関連性実証研究を行ったWyatt(2008)論文が含まれる。 以上の人的資本に関する理論的研究を受けて、2023年度(令和5年度)では、アンケート調査票の作成に着手した。 本調査を行うにあたって、学外研究協力者としてこの種の調査研究に精通した専門家、大阪府産業経済リサーチセンター主任研究員、田中宏昌氏の協力を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本アンケート調査では、経済産業省「グローバルニッチトップ企業100選表彰企業」(2014年107社、20220年113社、重複を削除)合計209社を対象にアンケートを実施し、現在調査票の回収を行っていることころである。今後、調査結果の取りまとめ、調査項目の集計・分析を行うとともに、回収企業の中から10社程度対象としてヒアリング調査を行い、人的資本情報の投資決定有用性に関する行動科学的研究を本年度(2024年度)に行い、研究報告書を完成する予定である。 これらの研究ステップは当初予定した研究プロセスに対応するものであり、本研究は概ね研究計画に即して実施されてきており、順調であると言えよう。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究計画書に提示されたとおり、まず2022年度に策定したアンケート調査票の素案に基づき、2023年度において投資ファンド・証券アナリストを対象としてアンケート調査のパイロットテストを行う。その結果を分析して、ヒアリング調査対象を数社に絞り、予め設定していた質問項目を中心にヒアリング調査を行う。その分析結果に基づき本研究の成果をとりまとめ、成果の社会的発信に努める予定であったが、アンケート配布企業の選定に遅延が生じたため、200社余りのアンケート調査票の発想は、2023年度末に行うことになった。 最終年度の2024年度においては、これまで2年間の研究成果を踏まえて、人的資本情報をファンドマネジャー、財務アナリスト、ベンチャーキャピタル等の専門投資者が投資判断においてどのように、どの程度活用しているかの実態を明らかにし、投資利用状況を子細に比較分析して報告書を作成することが本研究の最終課題である。その成果は、研究分担者が内外の学会、セミナーなどで発表するなど、社会還元に努めることにする。
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Causes of Carryover |
令和4年度に実施予定の人的資本情報に関するアンケート質問票の作成が同年度中に完成できず、アンケートの実施も令和5年度に先延ばしせざるを得なくなった。そのためのアンケート作成・実施に伴う費用も繰り越しすることになった。
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