2022 Fiscal Year Research-status Report
Research about Management Control Systems for Organizational Resilience
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22K01828
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
吉川 晃史 関西学院大学, 商学部, 教授 (20612930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 栄一郎 西南学院大学, 商学部, 教授 (30225156)
望月 信幸 熊本県立大学, 総合管理学部, 教授 (60508787)
木村 眞実 長崎大学, 経済学部, 准教授 (80516865)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 組織レジリエンス / MCS / BCP / 中小企業 / 管理会計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では予測不可能な状況や,現在時点での技術や情報では対応困難な状況に陥った際の対応力である組織レジリエンスは,震災やパンデミックと行った特殊な状況において重要な能力である。それが管理会計はじめ組織のマネジメント・コントロール・システム(MCS)にどのように関連し,機能するのかを検討するものである。 関連論点として,事業承継といったイベントによりMCSがどう変わり組織レジリエンスに影響を与えるのか,会計専門家やコンサルタントが中小企業のMCSの変化にどう影響を与え組織レジリエンスを高める方向に導くのかがある。 初年度では,組織レジリエンスの基礎概念の整理を行った。レジリエンスの歴史を紐解き,レジリエンスの基礎概念を明らかにしたうえで,組織レジリエンスの議論がどのように展開されてきたのかについて経営学研究のレビューを通じて理解した。また,中小企業家同友会会員企業,阿蘇地域の観光資源を活用する企業群に関する取り組みについて,コロナ禍の影響もありオンラインを活用したインタビュー調査によりMCSとBCP(事業継続計画)についての理解を深めた。 成果論文として,ヤスダモデルの事例研究を通じて,事業承継を通じて後継者がMCSをどう変化させていったのかを検討した論文と,会計専門職が中小企業のMCSを形成,変化させていき,経営者の考えを望ましい方向へ誘導していく実践知,臨床知について論じたものを発表した。 これらは,組織レジリエンスを向上させる要素を検討するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文レビューと調査を進めたものの,計画していた対面での研究会や調査については実施できず,オンラインを活用した。また,本研究に関わる論文2編を公表し,おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,パンデミックや震災への対応事例として,ニュージーランドやイタリアの事例を検討する。BCP/BCMの導入組織を対象としてヒアリング調査を行い,各キー概念間の関係性の整理・類型化を行う。これらについて国内外の学会報告や研究会を通じて議論を深める。また,BCP/BCMの導入済み組織・企業を対象として,MCSとの連動について追加のヒアリング調査を行い,BCP/BCMが浸透した組織における管理会計実践が組織レジリエンスにもたらす影響を明らかにする。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のもと,調査や研究打ち合わせ,学会報告をオンラインで実施したことで次年度使用額が生じたため。次年度には対面での研究打ち合わせや海外学会報告を計画しており,繰越分を使用する。
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