2023 Fiscal Year Research-status Report
Studies on changes of the meshed data based Urban Areas 2010 afterwards
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22K01835
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
玉野 和志 放送大学, 教養学部, 教授 (00197568)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 都市 / 都市地域 / 人口推移 / 人口減少 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年の国勢調査のメッシュデータについて,e-Stat(政府統計の総合窓口)からいち早くデータを入手し,前年度までの2015年のデータに,さらに2020年のデータを加えて分析を進めることができた.これで当初の計画通り,2010年に設定したメッシュデータにもとづく都市地域について,その後のデータを追加することでその変容を明らかにするという作業に着手することができた. 分析の結果,前年度に2015年のデータを追加した際に得られた知見と,ほぼ整合する結果が確認できた.すなわち,これまで一貫して人口が増加してきた大都市圏周辺に位置する都市の多くが,2015年以降は人口の増加傾向を鈍化させており,1995年以降に見られるようになった傾向が継続していること.とりわけ東京大都市圏の周辺に位置している都市に多くこの傾向が見られ,バブル崩壊以降の東京の成長力の鈍化が予想される. また,他方,地方中核都市の多くが以前から持続的に人口を維持している傾向があったが,2015年と2020年のデータを加えることで,若干人口の維持が困難になりつつある都市が見られたが,おおむね多くの都市は人口を維持できていることが確認できた.他方,これまで人口の減少が続いていた縮小都市や縮小転化都市については,ほとんどすべて減少の傾向に変わりはない.ここでもやはりわずかな例外は富山と鳥取で,2015年に続いて2020年も若干の人口回復ないしそれまで減少していた人口が横ばいになるという傾向の継続が確認できた. 以上の結果をふまえて,日本測地系のデータによる1970年から2005年までの長期の分析によって得られた類型を,改めて世界測地系による1995から2020年までのデータによって検討し直した新しい類型に整理し,その全国的な分布の確認と,富山と鳥取については,個別の事情を探索する作業に進みたいと考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年の国勢調査のメッシュデータの公開が遅れていて心配したが,e-Statで確認できることがわかり,年度初めから作業を始めることができた.2015年のデータを追加する作業をすでに前年度に進めており,だいたいの新しい傾向は把握できていたので,2020年のデータを追加しながら,それらの知見を確認していくことができたこともあって,比較的作業を順調に進めることができた.とりわけ,地方都市において継続している人口減少の傾向にたいする例外として,富山と鳥取の変容を確認できたことは,大きな収穫であった.なぜなら,大都市圏のみが人口を増加させ,地方中核都市はかろうじて人口を維持しているなか,人口を回復ないし維持することに成功した都市地域を発見できたからである.この点では,2010年以降の変容を明らかにするという研究課題にとって,順調にその目的に近づいていると評価できる. 他方,人口が停滞しつつある大都市圏周辺の都市地域も含めて,今年度の内にある程度個別の検討ができていれば,当初の計画以上の進展が見られたのかもしれないが,そこまでは作業が進まなかったので,おおむね順調という評価が妥当と考えている. 最終年度に,富山・鳥取に加えて,大都市周辺で人口増加が停滞している都市地域の事例についても,できるかぎり検討ができればと思う.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの作業と分析の結果によって,当初研究の目的としていた都市地域の変容について,いくつかの知見を得ることができた.まず,大都市,とりわけ東京首都圏周辺の都市地域において,1995年以降見られた人口の停滞傾向について,2015年と2020年のデータを加えることで,その傾向が継続していることを明らかにすることができた.これらの都市のいくつかを個別に検討することで,それが東京大都市圏などの成長力の鈍化を反映したものかどうかを,確認する必要がある. また,2015年と2020年のデータを追加することで,大半の地方都市の人口減少に歯止めがかからない中,富山と鳥取だけが人口の回復ないし横ばいの傾向を示していることが明らかにできた.これは2010年以降の変容として新しく見いだされた知見であり,この2つの都市について,どのような背景が存在するかを個別の検討によって明らかにすることが求められる. したがって,最終年度については,まず新しい発見としての富山と鳥取について,個別の検討を進め,余裕があれば,大都市周辺の停滞転化都市についても,いくつかの事例の検討を進めたいと考えている.もし可能ならば,現地を訪ねることも検討したい.できるかぎりそれぞれの背景を明らかにしたいと思うが,十分な検討にまで進まなかったときには,継続の検討課題として,改めて新しいプロジェクトを構想し,次の科研費申請を準備したい.
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Research Products
(3 results)