2022 Fiscal Year Research-status Report
1950-60年代日本におけるポピュラー音楽産業の再編成に関する比較社会学的研究
Project/Area Number |
22K01841
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
周東 美材 大東文化大学, 社会学部, 准教授 (80725226)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | ポピュラー音楽 / うたのおねえさん / 近代家族 / アメリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本社会が冷戦体制に強固に枠づけられていた1950-60年代に焦点を当て、いかにして戦後日本のポピュラー音楽産業が確立し、諸外国に見られない戦後日本に特有のメディア文化を成立させていったのかを解明するものである。戦後日本のポピュラー音楽産業は、①アメリカによる占領の終了と冷戦体制下の対日メディア戦略、②音楽生産体制の革新と芸能プロダクションの成立、③高度経済成長期における新中間層の増大と近代家族の大衆的広がりという、3つの歴史的条件のなかで再編成されていった。本研究の目的は、これら①~③の各側面に対して理論・実証の両面からアプローチしていく。 上記の目的の達成のため、本年度は特に①の問題について下記のような具体的な課題を設定し、理論・実証の両面からアプローチした。すなわち、理論的研究として、「メディアの社会的構築」理論とアメリカニゼーション論の批判的接合をはかること、そして、実証的研究として、文献調査に基づく日本本土・東アジア地域のテレビ放送史の総合的検討を進めることである。これらの研究の結果、本年度はまず、単著『「未熟さ」の系譜――宝塚からジャニーズまで』を新潮社より刊行し、昨年度まで継続してきた別の研究課題(課題番号:18K13126)との接続を図った。また、論文「職業音楽家としての 「うたのおねえさん」 ――眞理ヨシコに聞くテレビ番組 「うたのえほん」 のころ」を『東京音楽大学研究紀要』第46集、小論「《こんにちは赤ちゃん》と不自然な母性」を『TASC monthly』に発表し、1950-60年代における日本独自のポピュラー音楽について考察した。前者では、「うたのおねえさん」という日本に固有の職業音楽家が、戦後における放送メディアの再編のプロセスのなかでいかに形成されていったのかについて、後者では近代家族の規範とポピュラー音楽の関係について考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画を予定通りに進めることができており、予期していない事態に直面したわけでもないため、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画を予定通りに進めることができており、引き続き、研究課題を遂行していく。今後、予想外の事態が生じることにより資料収集や研究発表が遅滞する場合に備え、現時点で収集・整理されている資料の分析を進める。
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Causes of Carryover |
アーカイブ化作業(資料の高精細デジタル撮影)を業者委託しており、その作業が年度内に完了しないことがわかった。次年度に作業を行うことにしたため、次年度使用額が生じた。次年度に、本年度分の作業を発注することで、差額分を執行してく。
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