2023 Fiscal Year Research-status Report
Inclusive Research on the Process of Establishment about the Representation of Labor and Their Culture in Postwar Japan: Centralizing the Emergence of Salaryman
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22K01842
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
鈴木 貴宇 東邦大学, 理学部, 准教授 (70454121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 剛 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00334300)
榎 一江 法政大学, 大原社会問題研究所, 教授 (90466813)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 日本的経営 / 女性労働者 / 組合活動 / 文化活動 / ホワイトカラー / 現場労働者 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究成果は次に挙げる2点である:① EAJS(European Association for Japanese Studies ヨーロッパ日本研究協会)でのパネル発表(Vanity and Alientation: Rethinking the Emergence of Middle Class in Modern Japan from the Labor History and the Unionization) ② 戦後50年にわたる経営者と労働者の意識調査について、江夏幾多郎氏(神戸大学)によるレクチャー開催 (「日本の人事管理による、研究と実務のギャップ」)。①は昨年AAS(Asscociation for Asian Studies アメリカ・アジア学会)で本科研メンバー全員で行ったパネル発表につづき、欧米で開催される国際学会において日本の組織に見られる特徴およびその歴史性に関する研究発表を行うことで、欧米の研究者からのフィードバックを得る目的で実施している。今回は大正時代における初期社会運動を考察するパネルの一員として、代表研究者が参加した。本科研は戦後の労働者像の解析をメインとしているが、そのためにも戦前(社会主義の影響が強くなる大正時代=1920年代)の労働状況を踏まえた上で、さらに世界史的な文脈で「戦後日本の労働者」のあり方を考えていく必要性が明確となった。②は、戦後日本における実務家と研究者の間における「労働」観の相違が、戦後50年の間でどのように変わっていったかについて知見を得るもの。「働く人」と「働かせる人」の間にあるギャップのみならず、「労働」を理念的に捉える傾向がある研究者と、「生活」という現実的な動機に基づいて働く人々といった複数のアクターによって、「労働者像」が象られていくこと明確となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画以上に進展することができた第一の理由は、2年続けて国際学界での発表を行うことができたためである。2022年度、2023年度ともに北米、ヨーロッパにおける中心的な日本研究の学会にて発表を行い、最終年度である2024年度の目的である国際シンポジウムの内容を具体的に検討することが可能となった。現時点で開催場所、また登壇要員が確定しているため、計画以上に進展しているの判断が妥当と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、国際シンポジウムの開催と併せ、展示開催に向けて計画的に動くことが重要である。現時点で国際シンポジウムの登壇要員と開催場所の確保はできたため、登壇依頼を行った研究者の専門を勘案したうえで、本研究課題のテーマである「戦後日本の労働者像」について、生産的な議論ができる包括的なテーマを画定すること、また並行して大原社会問題研究所とメリーランド大学プランゲ文庫が所蔵する資料をどのように選定するか、シンポジウムとの連動を効果的に行うことが目標となる。
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Causes of Carryover |
2024年度使用額が生じた理由は、2023年度に参加したヨーロッパでの学会参加は代表研究者一人だったことによる旅費の残分による。近年の円安により、国際学会に全員で参加するだけの旅費捻出が困難との判断もある。最終年度となる2024年度は、海外より基調講演者を招聘するため、謝金と旅費の支出が最も大きな比重を占める。それ以外はシンポジウム開催に必要な会場費、次に展示開催に必要な物品費用と続く。
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