2022 Fiscal Year Research-status Report
Studies about Settlement Work and Movement: Historical Sociology of Community Welfare
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22K01853
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
山本 崇記 静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (80573617)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 隣保事業 / 隣保館 / 部落問題 / 差別 / 人権 / マイノリティ / 生活困窮 / セツルメント |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、隣保事業が実施されているエリアとして、主に福岡県及び香川県における調査を実施し、九州地方と四国地方の特徴をつかむことに傾注した。福岡県では生活困窮者支援において機能している隣保館があり、また、香川県では、差別解消法や高齢者支援といった点でユニークな機能を果たしている隣保館がある。ただし、どちらも全県的に同様の取組が行われている館はむしろ少なく、小規模、小資源の中で、隣保事業の現代化を図るうえでの困難について、精査する機会となった。 これらの知見については、研究会、講習、講演会などの機会を得て、全国的に関係者を前に成果の還元活動に力を入れた。 加えて、これまでの研究成果を共著『インターネット時代のヘイトスピーチ問題の法的・社会学的捕捉』(日本評論社、2023年3月)の形で書籍としてまとめることができた。本書の担当章では、主に和歌山県の隣保館の先進事例を紹介し、差別解消に向けた取り組みとして小規模自治体における可能性について展開した。 そして、単著『差別研究の現代的展開:理論・規制・回復をめぐる社会学』(日本評論社、2022年10月)でも、これまでの全国的な調査の結果をまとめ、上記の課題について、どのようにアプローチすべきかについて、一定の結論を開示した。 補足して、探索的に、海外の事例として、アメリカ西海岸、ベイアリアにおけるマイノリティコミュニティの状況と支援、当事者運動の展開について、フィールド調査を行った。これらの知見を国際比較に向けて展開するための資料収集を、カリフォルニア大学バークリー校、同ロサンゼルス校、スタンフォード大学を拠点に実施することもできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査、資料収集、研究成果の発信、及び関係者への還元において、順調に遂行することができている。また、次年度以降に向けても、スムーズなスケジュールの遂行が行えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画としては、2023年度に海外の事例として、英国のセツルメント運動に関する現地調査及び資料収集を、オックスフォード大学を拠点に実施する予定である。この研究活動を通じて、国際比較を進める。さらに、日本における明治から昭和初期にかけての歴史的な側面からの展開についても精査を行う予定である。
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Research Products
(6 results)