2022 Fiscal Year Research-status Report
朝鮮半島からの戦時強制動員と戦後の流動的下層労働者の再編
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22K01867
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
亘 明志 京都女子大学, ジェンダー教育研究所, 研究教授 (60158681)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 戦時強制動員 / 総力戦体制 / 流動的下層労働者 / 構造的変動 / 資源動員 / 産業慰安所 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本の近代化及び現代化の過程を、流動的下層労働者の動員という観点から捉えなおし、戦争や植民地といった負の側面と経済発展や人権といった望ましいとされる側面とを、「統治性(M.フーコー)」の一貫した論理のもとに把握するという全体構想の中に位置づけられる。そのため、本研究では、第二次世界大戦(アジア太平洋戦争)期の植民地朝鮮からの労務動員と戦後の流動的下層労働者の再編に焦点を当て、文献資料による歴史社会学的方法及び聞き取り調査等によってその人的・物的資源動員を総合的に把握することにより、流動的下層労働者が日本の産業構造において、どのように位置づけられるかを明らかにすることを目指す。もって日本の近代化及び現代化の過程における流動的下層労働者が構造的にどのように存在してきたかを、統治合理性の観点から解明するための「動員理論」を構築することを目的とする。2022年度の研究経過は次の通りである。 ①植民地動員の実態解明については、社会学的研究はほとんど存在しないため、歴史学などの諸研究成果や民間での資料発掘などを参照し、社会学的問題関心からそれらの資料解読を行った。 ②動員計画については1)「(植民地動員を含む)国家総動員計画どうように策定されたか、2)「総力戦体制」下での動員組織(機構)の形成とその整備といった点を明らかにするために、行政資料等を探索したり、各地に残されている資料を収集した。 ③2022年度は、佐渡鉱山のフィールドワークを行うことができた。佐渡鉱山は世界遺産の申請がなされていることもあり、朝鮮半島からの労働者についても注目すべき事例である。 ④また、産業慰安所についても戦時および戦後の下層労働に密接につながっていることを知ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
戦時期の朝鮮半島からの動員労働者研究については歴史学を中心に先行研究の蓄積があるが、戦後、とりわけ戦争直後については、必ずしも資料が多くあるわけではなく、戦時から戦後への移行についてはかなり研究上の困難が予想される。2022年度にフィールドワークを行った佐渡鉱山も戦後はその規模を大きく縮小している。そこで、戦時・戦後の変動を考える補助線として産業慰安所の問題を検討することが適切ではないかと考えるに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
戦後の流動的下層労働者の状況を検討するためには、戦争帰還者の労働状況、朝鮮戦争が果たした役割、戦後の農村状況と出稼ぎ労働、エネルギー革命による炭鉱労働の変化などにおける朝鮮人労働者の位置づけなどを考察する必要がある。 また、産業慰安所が戦後どのように公娼制度に組み込まれ、やがて売春防止法体制の中で解消されていったかも課題となってくる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額については、研究テーマに関連するフィールドワーク、研究会・学会等に参加し関連資料を収集する費用、その他関連資料の収集費用にあてる予定である。
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Research Products
(2 results)