2022 Fiscal Year Research-status Report
産前産後のケアの社会化と継続的な地域子育て支援の検討
Project/Area Number |
22K01872
|
Research Institution | Tokyo University of Social Welfare、Junior College |
Principal Investigator |
堀 聡子 東京福祉大学短期大学部, こども学科, 講師 (10734965)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝山 幸 東京立正短期大学, 現代コミュニケーション学科, 講師 (60934007)
中谷 桃子 東京工業大学, 工学院, 准教授 (40910154)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 産前産後のケア / 地域子育て支援 / ケアの社会化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、産前産後のケアを社会化し、地域で継続的な子育て支援を実施するにはどうしたら良いかを明らかにすることを目的としている。初年度である2022年度は、まず、妊娠期および産後の女性およびそのパートナーを対象に、産前産後の支援に対するニーズについてのプレ調査等を実施した。サポートを利用したい時期については、「退院~生後1カ月」から高いニーズがあり(35.2%)、最も高いのは「生後2~3カ月」(76.6%)であった。場の人数は、「2~3組の親子」(52.8%)が最も高く、場の雰囲気は、「家同然の雰囲気で過ごせる」(平日:59.4%、休日・夜間:53.1%)が高かった。サービスへのニーズについては、「自分が仮眠が取れる」(66%)が最も高く、「母乳相談や母体メンテナンス」(64%)、「乳児の様子を見ていてもらえる」(60%)、「他の親と世間話ができる」(50.0%)などの割合が高かった。これらの結果から、産前産後の女性たちは、仮眠を取りたい、乳児の様子を見てもらいたいなど「些細な助け」を必要としていること、また、地域子育て支援拠点のスタッフ、助産師等の専門職や地域住民(ボランティア)など多様な立場の方々がその場に関わる仕組みづくりが必要であることが明らかとなった。 また、地域子育て支援拠点をベースとした産前産後の支援の試行事例をもとに、支援利用者へ利用後の満足度を調査した。プログラムや特定の話題に限った情報交換の満足度はいずれも高くなく、スタッフや他の利用者、専門職との会話への満足度が高いなどの結果が得られた。 これらの結果については、研究分担者の勝山幸氏が中心となり「妊娠~産褥期から始まる地域子育て支援-コロナ禍以降の新たな地域子育て支援の展開」と題して日本発達心理学会でポスター発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、①妊娠期および産後の女性およびそのパートナーの子育て環境、家族観・子育て観、産前産後の支援に対するニーズを明らかにするとともに、②実際に産前産後の支援を利用した妊産婦の、支援の利用による意識の変化を明らかにし、これらの結果をもとに、③産前産後の支援を広く地域子育て支援に位置づける具体的な仕組みを構築することを目的としている。 2022年度は、①の妊娠期および産後の女性およびそのパートナーへのニーズ調査についてプレ調査を実施したが、本調査は実施できなかった。一方で、地域子育て支援拠点をベースとして産前産後の支援を展開している試行事例をもとに、地域資源を活用した産前産後の支援がいかにして可能になるかについて検討を進めることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度実施した産前産後の女性およびパートナーへのニーズ調査(プレ調査)の結果をもとに、2023年度は産前産後の支援ニーズと子育て環境、家族観・子育て観等との関連について大規模な質問紙調査およびインタビュー調査を実施する予定である。また、実際に産前産後の支援を利用した妊産婦およびそのパートナーの、支援の利用による意識の変化についても調査を実施する予定である。
|
Causes of Carryover |
2022年度に実施を予定していた質問紙調査及びインタビュー調査を2023年度に実施することとなったため、2022年度の予算(調査費用等)を2023年度に使用する予定である。2022年度にはプレ調査を実施したため、その結果をもとに本調査を実施予定である。
|